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精密なフリーハンドのよさと、コンピュータによる着色

| 2011年08月05日 18:48 | 吉村正臣 |

Xan López Dominguez(スペイン)
チャン・ロペス=ドミンゲス

「MIS HISTORIAS PERDIDAS」
私の失われた歴史

一押し1 スペイン語

緻密ですばらしいイラストです。奥行き感を出す微妙なグラデーション、また、影と光のコントラスト、光の当たっている部分から、影への微妙な色彩変化は、この絵を深めています。コンピュータの特徴的表現が、存分に生かされています。
絵から受ける“不思議さ”や詩情感は、この色彩から生まれてくるのでしょう。そして、身近な感じや、あたたかさは手書きの人間的な線からかもし出されています。
概して、冷たくなりがちなコンピュータ使用が、そうなっていないのは、この線のおかげです。作者の意図が伝わってくる、よい作品です。
また、この文章も、絵を描いたチャン・ロペス=ドミンゲス自身です。彼は、細部まで緻密に描いた絵の上に、無造作にテキスト(文字)を入れられてしまう(編集部門で)のは、たえられないと言っています。そこで、この作品は、文章も自ら作り、レイアウトしたようです。
内容は、寓話のようで、子ども対象ではないのではないか。絵を見ても小さい子供が見て喜ぶものではない、どのような人が買うのかな…と思いました。この考えは日本的でしょう。
絵がいいので、またこの作家はベテランなので、きっと他にもいい仕事をされると思います。他の作品も期待して探してみましょう。
ただ、残念ながら日本では、まったくと言っていいほど知られていない作家です。私もこの作品がはじめての出会いです。

簡単に氏の紹介をしておきます1957年、スペイン・ガリシア州の州都ルーゴで生まれる。サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学で美術史を学ぶ。これまでに300以上の作品を描き、数多くの賞を受賞する。
1991年 ブラチスラバ世界絵本原画展に入選。
1992年 IBBY(国際児童図書評議会)ベルリン支部推薦、世界のすぐれた児童書リスト「オナーリスト」に作品が掲載される。ユニセフの国際イラストレーション賞を受賞。
2008年 国際的な絵本賞アストリッド・リンドグレーン賞のスペイン代表候補に選出。
2009年 ミュンヘン国際児童図書館主催「ホワイト・レイブンス・フェスティバル」に出展。
2010年 IBBY国際アンデルセン賞にノミネートされる。

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