ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
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刺繍で描いたイラスト。ボローニャ絵本原画展でも高く評価

| 2016年05月28日 09:00 | 吉村正臣 |

Annalisa Bollini  アナリザ・ボリーニ (イタリア)

Qui a volé le savon ?
石けんとったの、だれ

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フランス語 翻訳付
出版社:Gallimard Jeunesse Giboulées

アナリザ・ボリーニは、1984年イタリア・トリノ生まれ。’16年ボローニャ絵本原画展に入賞した注目のアーティストです。美術史の学位を取得後、イタリアと米国でイラストレーションを学びます。’11年はじめての絵本を出版。’12年にはリスボン・イラストレーションビエンナーレ(ILUSTRARTE)のファイナリストに選出されます。台湾のDpi Magazineや米国の 3×3 Magazine にも作品が特集されました。イラストレーターとして活躍するかたわら、非営利団体に協力し、アートテラピーの活動にも参加しています。

主人公は、バルバン家の浴室にいるゴム製のクジラ・ジリー。朝になると、一家全員が浴室に来て、あわただしく身支度するのを快く思っていません。一方浴室では、石けんがしょっちゅう行方不明になります。末っ子のエミールは犯人捜しにとりかかります。犯人がジリーだとわかると、エミールはジリーに宣戦布告。しかしジリーが石けんをとった理由を知ると、エミールはあることを思いつきます。けんかのあとにめばえる小さな友情のお話です。

刺繍で描いたイラストです。この作家は、布にさまざまな縫い方で糸をデッサンの線のように操り、時に布片を縫い込み、そこに絵の具を入れて、楽しい絵を完成させます。直線、曲線、太く、細く自由自在にミシンを使いこなし、また、手縫いでデフォルメされたカワイイ人や動物、花々、風景を描きます。布や糸の生地の目が、とてもあたたかい気持ちにしてくれる、すてきな個性のある絵です。発想がユニークで子供も大人も楽しめそう。

≪翻訳の一部≫  翻訳:泉 りき

ジリーは、小さな青クジラ(女の子)。バルバン家の浴室に、ずっと住んでいる。
毎日、つつがなく暮らしている。
ジリーは、明け方には目をさまし、ぐーん、と伸びをしてから体操。それから全身をくまなく洗う。
まもなく世間はあわただしくなる。7時きっかりに、バルバン家の全員がやってきて、浴室を占領する。一家の朝のあわてぶりを、ジリーはじっと見ている。そしてひとりごとを言う。
「こんな朝の習慣、もういやだ」

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