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やさしい茶葉の香りが、アジアの風に運ばれてやってきます

| 2021年08月27日 01:00 | 吉村正臣 |

Célia Chauffrey セリア・ショフレイ (フランス)

Le parfum des feuilles de thé
茶葉の香り

le parfum表紙

フランス語 翻訳付
出版社:De la Martinière Jeunesse

1978年生まれ、パリ郊外の出身です。大学入学資格(バカロレア)を取得後、グラフィックデザインを学んだ後、教育内容に定評があるリヨンの美術学校エミール・コールに入学。2003年に卒業しました。卒業後はイラストレーターとして、絵本作家として活動。 有名出版社l’école des loisirsを中心に、絵本を出版しています。

チベットの自然の中ではぐくまれた愛を、さわやかな色合いで描いた大判絵本です。父親に追い出された娘と母が、つつましく暮らしていました。娘と母は、毎日のように茶摘みに出かけます。茶葉の見分け方、その香り、摘み方を母から教わった娘は、美しく成長し、ある日、森の中でケガをして倒れている男性を見つけます。男性は、その国の王でした。王の傷の手当てをし、自らが摘んだお茶でもてなす娘。二人の間には愛が芽生えます。やさしい茶葉の香りが、アジアの風に運ばれてやってくるような、さわやかなお話です。

絵は、東洋的な画面で、人と自然が一体となったような優しい描き方、フランス人が憧れる東洋ですね。とくに、大小の木々が注意深く見て綿密に描かれ生きているようです。鳥や動物も繊細。服のアンバランスさが、かわいくもあり奇妙でもあります。民族衣装が地域、時代考証をされないまま描かれているからか。しかし、それぞれのよいところを取りあげ描くことはよくあることで、絵が美しく楽しくあればいい、その願いが十分に果たされています。

≪翻訳の一部≫   翻訳:泉 りき

遠い昔、チベットのはずれに、ジアという娘と母親のイ・ジエが暮らしていました。おとなしいヤクたちが大好きな緑に覆われた大草原。その真ん中にある、小さな木の家。ふたりの財産といえばこの家くらいでした。でも、互いを思いやる心は尽きることがありませんでした。
ジアは長い黒髪で、母親似の愛らしい顔立ちで、おおぜいの中でも目立っていました。家から何時間もかけて、ふたりは大きな市場へ、作った服を売りに出かけました。毎日、服作りを終えると、香りのよい葉を摘みに行きます。ジアは母から、葉の摘みかたを教わりました。
午後、太陽がからだを温めてくれる時間になると、ふたりは出かけました。森までの道は遠く、歌を歌いながら歩きました。そしてあたりに茶葉のよい香りが立ちこめてくると、ふたりは急ぎます。

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