ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
 

3人のスペイン作家が、仲間に加わりました。

| 2005年05月25日 15:51 | 吉村正臣 |

先の『ボローニヤ国際絵本展』で見つけた作家、『イタリア国際イラストレーション展』で優秀作家として上げられた作家らです。 いずれの方も、ヨーロッパの絵本界では有名な人たちで、それぞれたくさんの作品集が出版されています。が、日本ではあまり知られていないようです。それぞれの作家の特徴を紹介しましょう。

●ジャヴィエ・ザバラさん(Javier Zabala)

『イタリア国際イラストレーション展』の2004年版図録の特別ページを飾った人で、数々の国際展で受賞しています。
線と絵の具のにじみが上手で、水墨画と筆の線を親しく目になじんでいる日本人には、気に入ってもらえるのではないかと思い、招聘しました。 画面の小さい絵ではわかりにくいのですが、描いているカルトンの上に、他の紙に描いたものを貼るコラージュ技法を併用しているものも少なくありません。
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筆の勢いと絵の具のにじみで饒舌に描かれる画面に、他の紙に描いたものを切りとり貼ることで、メリハリのきいた構成のよさを与えています。このへんが、今的な絵にしています。コラージュにはボール紙、新聞紙、薄い模様のある紙が使われています。
人や動物を描いた絵にもいいものがあります。きちんとスケッチをしたり、写真を撮り、これを何度も鉛筆やインクでデッサンしながら、自分流にした上で、一 気に描いていく。勢いのある筆致なのに対象のポイントをうまくとらえているのは、デフォルメする前作業が、いきとどいているのでしょう。 なかなか達者で、安心できる作家です。

●ダニエル・セーゼさん(Daniel Sese)

たいへんシンプルに、省略化して描く、今までのイラストユーロには少なかった作家です。今年のボローニャの絵本展会場は、スペインの特別展 示があり、このコーナーではスペインの、現代活躍中の作家たちの絵が展示されていました。スペインといえば、私たちは熱い情熱…を思いえがきがちですが、 この作家だけ、コーナーの作品群の中で、たいへんクールな作風で目を引きました。シンプルな作品もすばらしいと思い招聘しました。
ペンギンの絵や、数字をモチーフにした絵のように、単純化した形の美しさと、色の大胆さは、楽しさを通り越しオシャレなものにしています。
イラストレーションとしてたいへん使いやすいのではないでしょうか。

また一方、テーマやストーリーに合わせて、平面的に単純化された事物を構成した絵にも、楽しい作品があります。
この絵は、『Mauletの歌』と言うタイトルで、歌の物語が描かれています。またこの絵は『Caterineta』 で、同じ雑誌の一連の物語のために描かれたものです。ドラマに応じて絵にしていく技術も見逃せません。 なかなか頭のいい人ですから、難しい課題も、単純化しオシャレに描いてくれるでしょう。

●アンヘル・デ・ペデロさん(Angel de Pedro)

ペデロさんは、昨年のボローニャ絵本展で注目していた作家です。連絡がつかずやっと招聘できました。 今回の作家たちの中では、私は一番、スペインらしいというか、南ヨーロッパらしい作品であると、思っています。また、イラストレーションというより絵画的にもひとつのポジションを占めているでしょう。その辺が、招聘の理由でもあります。

彼は語りませんが、私が勝手に推測するに、きっとピカソを学んだのではないでしょうか。ピカソのキュービズムから以降の作風の影響を色濃く残します。ピカ ソにそっくりじゃないかという絵もあります。しかし、そこは、現代人ですしイラストレータです。色彩やフォルムが重くないのです。また、イラストレーショ ンとして、「受けるほどあい」に収めているのです。

しかし、ベースとなったキュービズムを進展させながら、彼自身のオリジナリティを作り出しています。それは、ごろっとかわって、マンガ、アニメ画的手法です。 同じ人が描いたと思えない作風です。が、色のコントラスト、それを際立たせる立体感のつけ方は、キュービズムの手法がわずかですが残ります。
そんなところから、単純化された、マンガ手法にも、意外な深さがあると思っています。