ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
 

新たに3人の作家をご紹介します。

| 2005年07月25日 11:33 | 吉村正臣 |

大物、人気作家、それに新進気鋭の若い作家です。

●イザベル・シャトラーさん(Isabelle Chatellard)

以前から気になっていた作家でした。フランスやイタリアで、絵本屋さんに立ち寄ると、重なった絵本の隙間から、私を見ていました。

その際、手にとり常に感じたのは、「劇場的な絵だな」ということです。舞台があり、その舞台空間に衣装を着た役者さんがポーズをしている…舞台で踊る操り人形に近いかな、まあそういうシーンを思うのでした。

日本の広告イラストに向かないと思い招聘を迷っていました。が、この春にパリの左岸にある大きい絵本屋さんで、また、待っていたとばかりに私に語りかけてきましたので連絡しました。と、早速、喜んで参加するとの返事とともに、すてきなニュースが添付されていました。

なんと、パリのもっとも豪華で有名なデパート・プランタン(オスマン店・本店)の、ショーウインドを彼女が装飾したとのことでした。しかも1年で一番華やかなクリスマスのウインドーです。最高のアーティストしかできない栄光の仕事です。。

舞台空間を思わせるイラストレーションと先に感じていたことは、まんざら間違っていなかったのです。ショーウインドの展示空間にオブジェを配する作業は、彼女の得意とするところのようです。

3次元空間でのイメージの創造が、絵に表れたり、ディスプレーに表現されるのでしょう。日本人の空間意識とは異なった表現をご覧ください。

たくさんの絵本出版をしているフランスでは有名な作家です。出版社との契約でイラスト・ユーロでは多くを紹介できませんが、取りよせたり本人から送るといっていますので、ぜひ見てあげてください。

●ナタリ・フォルティエさん(Natali Fortier)

カナダのフランス語圏ケベックの人ですが、現在はパリ近郊に住んでいます。

今年のボローニャ絵本展会場でのこと。たいへんアクの強い絵が多いヨーロッパのイラストレーションの中で、描き込んでいながらも、シンプルにあっさり仕上げる作品がありました。それが彼女でした。会場でも何冊か別の作品も紹介されていました。
調べてみたら、カナダ人だったので「ユーロ」にこだわるため、そのままになっていました。

上記イザベルと同じ本屋さんに「 merci 」という絵本がありました。もしかしたらと、作家を見ると、やはりナタリでした。なにせ、メルシーですから、捨て置くこともできず買って帰りました。
Merci (作 Olivier Douzou ・出版 Editions du Rouergue 2002 )
で、もう一度調べると、パリのボザール(国立高等美術学校)を出て、フランスに住んでいることがわかり、この条件なら誘える…ということで、参加してもらいました。
一見、フリーに描いているように見えますが、しっかりしたデッサン力のある、アカデミックな絵の勉強をした人でしょう。省略された線がたいへん美しいのです。

また、形をデフォルメする仕方が、うまくこなれています。これは、最近多い達者なだけの人たちとはまったく違うものです。
そして、何よりマチエールに深さがあるということ。ですから絵の描かれていない空間部が美しいということです。その空間は日本の空間処理と似ています。浮世絵的といいますか。日本人も、好むタイプの作家でしょう。

一方、ピカソのオブジェのような作品も作っています。これはピカソの作品にもありましたよね。

ありきたりの物を使い、このようなすばらしい作品を作るには、優れた才能があるのでしょう。

●イヴァン・プリエトさん(Ivan Prieto)

スペインの新進気鋭をご紹介しましょう。 26 歳の男性です。実は、ボローニャでも、ブラチスラバの展覧会でも受賞歴はありません。

では、なぜ?

上記の絵本屋さんで奇妙な絵の本を手にしていたとき、店員さんが「新しい出版社で、意欲的に若い作家を取り上げている。当店でも初めて置きました。あなたが最初に見てくれました」とうれしそうに言うのです。その店員さんに、出版社のフルネームなど教えてもらいました。
この写真が表紙です。鼻の穴に人が入って足をばたつかせている。いったいどんな物語だろうか…(実はいまだに読めていません)

中の絵は、大胆に省略した面白い形の登場人物がコラージュの技法で大胆に描かれています。特によかったのは、模様や色がダイナミックであったこと。上手でもないし、かといって下手でもない、なぜか魅力のある絵です。

で、帰国後調べると、マドリード大学美術学部、オランダ国立美術学院を出て、今年 05 年に初めて出版。それが、私の手元に来たのです。
イラスト・ユーロの紹介をすると、たいそう喜び、たくさんの絵が送られてきました。

若々しく、自由奔放に描いています。が、その中に、細かく計算された配慮があります。たとえば、同じような顔やポーズですが、それぞれの特徴を際出せるた め、他よりも大きくデフォルメされています。極端にされていても、バランスを崩さない。その辺がうまいところで、単純化と、色彩の大胆な使いかたから来る のでしょう。

一見描けそうな絵でしょうが、そうはいかない。隅々までウキウキした気分とそれを裏打ちする描き込めるテクニックがあるのです。

今後どのように変わっていくのか、きっと、スーパーアーティストになります。たいへん楽しみです。ぜひ、注目してください。