ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
 

スタイルをもった偉大なイラストレータ 2人に注目!

| 2008年11月26日 19:02 | 吉村正臣 |

パリの冬は11月24日から始まったようです。冷たい風と積雪がありました。
しかし、2人の素晴らしい本を見つけたので、カラダはとてもあったかでした。。

再びエリック・ピュイバレ

まず一人は、2006年1月30日の記事で紹介しました、エリック・ピュイバレ( ERIC PUYBARET )です。健在も健在、今やフランス最高のイラストレータになっています。2006年は、エリックが、注目されるようです…と書きましたが、さらにすばらしい本が続々出版されています。このクリスマス時期の新作も、一段とよくなった力作です。

日本には、「月と少年」訳:中井珠子 アシエット婦人画報社から出ています。おそらくこれ1冊のよう。とても残念です。もっと評価され紹介されてもいいのではないかな。
彼は1999年、ボローニャ国際絵本展のコンクールで入賞しています。(イラスト・ユーロ所属のマリア・バッタリアさんも、同年入賞しました。)

1976年、フランス・ヴィシー生まれ。フランス国立高等装飾美術学校出身です(2006年5月20日の記事で紹介のローラン・コルヴェジエさんの学校)。
どなたか、日本で出版していただけませんか。

EricCALENDAR-01EricCALENDAR-03
エリック・ピュイバレ作品

初めてのご紹介、ベアトリーチェ・アレマーニャ(Beatrice Alemagna)

この人の作品は、いつもの児童書店「シャントリーブル」( CHANTELIVRE / 2006年1月30日の記事で紹介)で最もスペースが割かれていました。確かに推薦本だけあり、私の眼からも、この冬一押しではないかと思います。
私は以下に紹介する2作との出会いが初めてで、思わずいい人が出てきたなと買い求めたのですが、すでに日本で展覧会が開かれ、翻訳本も出ていました。

さて作品。鉛筆、クレヨンで丹精にえがかれ、それに写真やイラストのコラージュが重ねられ、手描きの肉体感というのでしょうか、温もりと、写真などが大胆に切り取られコラージュされた無機質感の組み合わせが、見事なまでに現代性をもっています。相反する力が、同じ画面に集合させられた時に、時にぎこちなく離反するものですが、むしろ、重なり合って、一層の深さを作り、重厚な人間味を感じさせます。

コラージュに使われた写真も、多くのコラージュ作品にありきたりな写真があるかと思えば、写真に手を加えて、より自分らしい高まりに持ちあげている。ここが、他の作家とは比べものにはならない才能を感じます。

また、隅々まで丁寧に描かれているところがすごくいい、これはどんな作品にも言えますが、丁寧で、いわゆる“手がきれい”ことも大事な要素です。大胆に描かれていても、“手が汚い”ものは、よくありません。ベアトリーチェ・アレマーニャは、これで完成しているでしょうから、今後どう領域を高めていくか、大きな興味を持ってみていきたいと思います。

1973年、イタリア・ボローニャ生まれ。グラフィックデザインと写真の勉強をした後、イラストレータとして活躍。2007年ボローニャ国際絵本展で特別賞を受賞しています。

・Un lion a´ Paris(パリのライオン)
UnLionParis-01UnLionParis-02UnLionParis-03UnLionParis-04
・Karl Ibou(カール イブー)・・・日本でも出版されています

訳: いしづちひろ  出版社: スカイフィッシュ・グラフィックス
KarlIbou01KarlIbou03KarlIbou04

他に日本で出版されている本

・ガラスのジゼル
作・絵: ベアトリーチェ・アレマーニャ  出版社: 編集工房くう

スタイルについて考えました。

タイトルにスタイルと書きました。この場合「個性」と呼んでもいいのですが、スタイルのある作品は素晴らしい。上に紹介したエリック・ピュイバレを見ていると、この人の人間像まで思い描かれます。
たくさんの作品を見ますが、多くの作品には万全に整ったスタイルがない。例えば、人物の描き方が、マンガの描き方で、その延長としてイラストレーション作家になってきている。顔の表現、骨格の表現など見るとよくわかります。

文章とセットに紙面に提示されるため、イラスト表現は当然ストーリーを語ることになる。とすると、マンガと同じ役割をしてもいいわけですが、絵本のイラストレーションはストーリーを展開するための道具だけではない(まあ、私の視点ですが)。

私は、絵として、ストーリーがなくても、独立できるものを選んでいきたい。
マンガテクニックではない、アカデミックな技法に根ざす力かもしれないし、持って生まれた才能かもしれない。地域が育んだ技法かもしれないが、しっかりした絵の技量、その力を昇華させた自己のスタイル。それが、すばらしい作家と私は見ています。

このイラスト・ユーロの作家やエディトリアルに紹介する人たちは、新人の人たち、高名な人たち、さまざまですが、それぞれしっかりした画法をもっています。もしくは必ず生まれてきます。
何かの機会に、彼らの作品を見てください。