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バレエ作品「ジゼル」を、切り抜きが華麗な絵本にしました

| 2018年11月06日 18:18 | 吉村正臣 |

CHARLOTTE GASTAUT シャルロット・ガストー (フランス)

Giselle
ジゼル

フランス語  翻訳付
出版社 amaterra

マルセイユの出身。パリのESAG Penninghen美術学校を卒業後、女性誌を中心に活動します。2001年はじめての絵本を出版します。その後は、千夜一夜物語、眠れる森の美女、ロバの皮など、有名なお話を題材に、絵本を描いています。2016年1月にイラスト・ユーロで紹介したロシアの音楽家・ストラヴィンスキー作曲のバレエ音楽「L’OISEAU DE FEU火の鳥」も大好評でした。

この作品『ジゼル』(Giselle )は、1841年にフランスで初演されたバレエ作品です。全2幕。作曲はアドルフ・アダン、振付はジャン・コラーリとジュール・ペロー。ロマンティック・バレエの代表作の一つです。

結婚を目前にして亡くなった娘達が妖精ウィリとなり、夜中に森に迷い込んできた男性を死ぬまで踊らせるというハインリヒ・ハイネによって紹介されたオーストリア地方の伝説に着想を得て作られました。2幕物で、第1幕の昼間の森の場面と第2幕の夜の場面の対照が印象的。主人公が死装束で踊る唯一のバレエ作品といわれています。

物語りは、踊りの好きな村娘ジゼルに、アルブレヒトは貴族である身分を隠し、名をロイスと偽って近づく。ふたりは想いを通わせるが、ジゼルに恋する村の青年ヒラリオンは面白くない。彼はアルブレヒトが普段の衣装や剣をしまう小屋から剣を見つけ、村の青年ではないことを確信してその剣を持ち出す。・・・・・・ここから、悲劇が始まります。

絵は、この作家の作風がいかんなく表現されています。随所に切り抜き加工を効果的に使い、曲線を多用した装飾的なスタイル、アーモンド型の大きな目の登場人物が、彼女の作品の特長です。
表紙に金文字のタイトル(写真では黒くなっていますが)を、中ページには、レースのように繊細な切り抜きで表現した豪華な絵本です。

森の外れにある村が舞台で、木々、草花が、朝、昼、夕の時間の変化によって、さまざまに美しく表現されます。そして切り抜かれ、次ページの絵と重なり合い、重厚な絵になるように工夫されています。また、妖精達の服装や模様は、とても細かく描かれ、ファンタスティックです。

≪翻訳の一部≫  翻訳:泉 りき 

ジゼルは、森の外れにある村の、いちばん辺鄙なところに住んでいました。
田舎娘のジゼルは、とてもきれいでエレガント。とりわけ踊ることが大好きでした。
ジゼルとハンサムなロイスは愛しあっていました。ロイスに見つめられると、ジゼルは幸せでした。ジゼルはロイスのために踊ったものでした。何度も何度も。ロイスへの愛を伝えるジゼルなりのやり方でした。ところがもうひとり。ヒラリオンもジゼルが好きでした。ある日、ヒラリオンは知ったのです。ロイスが実はアルベールという名で、ある国の王子であること、さらに生まれたときから、バチルドという美しい女性がいいなづけであることを。嫉妬と怒りから、ヒラリオンはジゼルに本当のことを話しました。

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