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画家ヤン・トーロップ(1858-1928)の生涯や作品がテーマ

| 2017年07月12日 15:31 | 吉村正臣 |

Kitty Crowther キティ・クローザー(ベルギー)

JAN TOOROP – LE CHANT DU TEMPS

ヤン・トーロップ

jan toorop表紙

フランス語 翻訳付
出版社:Éditions Versant Sud

1970年ベルギー・ブリュッセル生まれ。サン・リュック高等美術学院で、グラフィックデザインを学びます。1994年絵本デビュー。ユーモアあふれるタッチで、たちまち人気者になり、作品は約20の言語でで出版されています。フランスとベルギーの主要な絵本賞のほか、オランダ「金の画筆賞」、スウェーデン「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」、日本の児童文学賞も受賞。
この絵本は2016年、ベルギー・フランス語による最優秀絵本賞・LIBBYLIT賞を受賞しました。

本文ページは2ページだけの「ほぼ文字のない絵本」です。画家ヤン・トーロップ(1858-1928)の生涯や作品をテーマに、キティ・クローザーが自由に描いています。オランダ統治下のジャワ島に生まれ、11歳のときたったひとり、絵を学ぶためにオランダへ。象徴主義に出会い、大きく画風を変えながらも、作品の根底にいつも故郷があったようです。ヤン・トーロップの娘チャーリー・トーロップも画家となります。絵本の最後のページに、父と幼い娘が並んで海を眺めるシーンが印象的。

色鉛筆でごしごし描いています。ほとんどが色鉛筆ですが、一部に水彩絵の具で塗ったようなところがあります。何だ、この絵は・・・乱暴な・・・ヘタな・・・と思われる方もおられそうな絵ですね。でも、この流動感のある線、画面構成力のある描き込み、迫力のある画面の力・・・が特徴の作品です。この作家は、鉛筆。コンテで、広々とした空間の中に人や動物を置いていました。が、今回はおとなしさを破ぶりました。はじめ表紙を見た時、彼女の作品だとは思いませんでした。変わった絵だなと好感を持ち購入したのです。

<翻訳の一部>  翻訳:泉りき

ここから遠く離れた、ある島での物語。そのころ、写真はまだ白黒だった。島にはヨハネスという名の少年が住んでいた。一説では、少年の母親はジャワ島の王女で、父親は騎士だったらしい。だが、噂はでたらめだという人もいた。それはさておき、ヨハネスのちのヤンは、きょうだいたちとスマトラ島のそばにある、小さな島のジャングルで暮らしていた。
映画はまだなかったが、ワヤンと呼ばれる、人形を使った影絵芝居はあった。演目は古代の神々のお話、王族の話、終わりそうにない戦いの話。ヤンは劇に登場するふたりの王女がお気に入りだった。どちらも同じくらい好きだった。繊細で軽やかな身のこなしで、温められた風の中を動く。

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