ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
 

物語を読まなくても、絵からドラマを想像する

| 2017年11月10日 08:22 | 吉村正臣 |

Alain Gauthier アラン・ゴーチェ(フランス)

絵本「ALICE au pays des merveilles」
不思議の国のアリス

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絵本「ALICE au pays des merveilles」
不思議の国のアリス

1945年、フランス生まれの、フランス西部のロリアン芸術学校を卒業。イラストレーターであり、画家であると紹介されています。ポスターにこの作家の優れた作品が多く、画集、絵本にも才能を注いでいます。
昨年、パリの西に位置するブローニュ・ビヤンクールで、このアーティストの多大なキャリアに敬意を表する2部構成の展覧会が開かれました。
写真のこの作品は、その際のポスターで、大ベテランの作風をいかんなく表現されています。

彼はアメリカ、日本そして国際的に知られ、多くのアーティストに刺激を与えました。
代表作のひとつ、絵本「ALICE au pays des merveilles」(不思議の国のアリス)です。
この絵本を見つけた時は驚きました。古い絵のようでもあり新しい絵のようでもあり。ただしっかりした絵なので、中を開きました。
物語を読まなくても、この絵本の小さい絵たちが、画家の想像力のすごさを示してくれます。この絵本の場合、文字を捨てて絵に描かれている物語を感じ取ることがよいのではないでしょうか。

ドラマを絵にするのは難しい。文章の説明画になってしまい、絵としてのビジュアル性が弱くなることがよくあります。文章と絵の“独立”と“融合”、相反することを追求するからですね。
この作品は、「不思議の国のアリス」ということもあり、大胆にイメージが広げられています。絵は、見慣れた事物や風景が、それぞれしっかりと描かれています。その上で意外な取り合わせで、夢のようなシーンで私たちを驚かせます。

各パーツは伝統的な描き方ですね。事物のありえない組み合わせなどを写実的に描いた

シュールレアリスト特有の、空想性に富んだ画面です。その中に、今日的な事物が取り入れられ、絵をこの時代にマッチさせています。また、にこっと笑わせてくれるところもあります。今日では、コンピュータを使って描くところでしょうが、多くは手書きで描かれているのではないか、その分、優しさがあるように思えます。

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※この絵本は絶版のため取り寄せできません。当方に1冊のみ在庫していますが、古い本のため傷みがあります。