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大昔から口述物語で語られる神話。伝統的アートで描かれる

| 2018年07月26日 07:00 | 吉村正臣 |

BHAJJU SHYAM バッジュ・シャーム(インド)

Création
創世の物語

creation表紙

フランス語 翻訳付
出版社:ACTES SUD

インド・チェンナイにある工房で手作りされた限定6,000部の絵本です。裏表紙にこの本の製造ナンバーがはいっていて、6000部印刷され、3694番です。
原画を手漉きの紙に、シルクスクリーンで手刷りしています。

イラストを描いたBHAJJU SHYAM(バッジュ・シャームまたはバージユ・シャイアン)は1971年生まれ。1998年最初の展覧会を開催し、その後、国際的に知られるようになります。インド中央部に暮らす先住民族・ゴンド族の出身。母親が泥を使って家を装飾する伝統的な方法を見て育ちました。その後、有名なゴンド族のアーティストに学び、今日ゴンド・アートを世界的に知らしめたアーティストになりました。2008年には、絵本”THE NIGHT LIFE OF TREES”でボローニャ国際絵本原画展 ニューホライズン最優秀賞を受賞しました。

ゴンド族は口述により、伝統や風習などを今日に伝えてきました。この絵本は、テキストにゴンド族の創世神話を取り入れ、この世に生を受け、そして死を迎えるまでのあり方をゴンド・アートとともに表現しています。
シンプルでありながら、力強い絵にこめられた意味を、テキストを読みながら味わってください。自然のリズムに従い、生きてきたゴンド族にあって、ゴンド・アートは自然と流れる時間の中で、ゆっくりと育まれた恵みなのです。
厚手の紙目が不揃いなベージュ色の用紙に、シルク印刷で刷られたようです。絵は、シンプルで様式化され、大昔から口述物語や儀式で語られる神話の意味性を漂わせています。昔からの土着的・伝統的なアート様式に現代の感性が加わって,素朴でありながら斬新さがあります。色は、メリハリがありながら落ち着いた発色できれいです。シルク印刷の良さでしょう。糸かがり製本も、手作りさ示しています。お話の内容を,この絵と装丁でより深いものにしているようです。

≪翻訳の一部≫   翻訳:泉 りき

生まれる前の魚
この世をどんなものにするか、創造者は考えました。それ以前は、そこには何もありませんでした。何ひとつ。何もなかったところに、水が現れました。

インドの先住民であるゴンド族にとって、魚は水を表すものです。ここに一匹の魚を描きましたが、まだ生まれていません。魚の形こそしていますが、空洞で水の中に入れると、泡を吐くのです。

空気
この場所で、創造者はすべての存在に命を吹き込みました。空気が生まれました。

世界をどこに創ろうか。創造者は一羽の青いカラスを放ち、場所を探させたそうです。世界の中心を起点に、台風の目のように旋回するカラスたちの姿を想像しました。その姿は空気の動きなのです。

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