i minuscule
Rebeka Elizegi(イラスト) Marie-Christine dauner(文) 出版社: Balivernes
タイトル 「i minuscule」
翻訳クラブに参加されている方々は、「小文字のi」と、直訳どおりにされた方、「小文字のi君」と、絵を見て男の子の服装なので「君」を入れた方、さまざまでした。まだ、この段階で決めてしまわない方がよいでしょう。
タイトルは、全編を訳し終わってから、最終決定したらよいわけで、今の段階ではこのままにしておきます。
① P.6のポイント
C’est l’histoire d’un i minuscule qui habitait avec son père dans un vieux dictionnaire sur une vieille étagère.
「これは、古い書棚の、使い古した辞書の中で、お父さんと暮らしていた小文字のi君のお話です。」
連続して使われた形容詞vieux/vieilleを“古い”と連続して使うと聞きづらくなります。片方を「古い」とし、もう一方を「使い古された」「古ぼけた」など、少し変化をもたせるほうが、日本語を目にしたとき、自然でしょう。
動詞hibiterは、半過去の形habitaitで使われています。翻訳の場合、より自然な、より理解しやすい日本語にするために、時制どおりに訳す必要はありませんが、絵本の冒頭部分で、しかも「これはお話ですよ」という提示でもあるので、ここでは時制どおり「住んでいた」としたほうがよいでしょう。
l’histoireは、歴史の意味もありますが、絵本でしかもイラストが子ども寄りですので「お話、物語」のほうですね。
② P.8のポイント
Le dimanche, iminuscule aimait all se promener avec virgule, ou faire du vélo avec petit o, son voisin d’en haut.
「日曜日になると、小文字のi君は、コンマちゃんといっしょに散歩に行ったり、上の部屋に住んでいる小さなo君と自転車に乗るのが楽しみでした。」
aimaitが、aller se promenerと、faire du véloの、ふたつの動詞にかかっていますね。ある方が、aimaitを「楽しみでした」と訳されていました。とてもよいと思いました。
③ P.10のポイント
Non loin de chez eux vivait la famille E. Monsieur et madame E avaient quatre filles.
「そう遠くないところに、Eさん家族が暮らしていました。ご夫婦には4人の娘さんがいました。」
Non loinの言いたいことは、“近所”なのですが、前ページにson voisinと、近所が出ていますので、ここではもう少し離れた場所にしておきましょう。
La cadette était muette.
末っ子は、声の出ない子で、muetteは、無言の、無声の、などの意味です。
Les trois sœurs aînées étaient des triplées et elle se ressemblaient tellement que, pour les distinguer, madame E avait dû leur acheter un chapeau different.
Les trois sœurs aînées・・・3人のお姉さん
tellement que・・・とても〜なので
「姉の3人は、三つ子でした。彼女たちは、とてもよく似ていたので、マダムEは見分けるために、違った帽子を買ってあげたのでした」となりますね。
絵から見ると、姉の3人は頭上に “アクセント記号”がついています。絵本では“é ê è”の記号が“帽子”と表現されました。
eは、カタカナで書くと「ウ」と発音されます。アクセント記号をつけて「エ」と発音させます(微妙に「エ」の音が異なり、3つの記号があります)
この、姉さん3人は「エ」の音となり、末っ子の「ウ」と異なります。
末っ子は「エ」の音を出さないから、「声が出ない」というように書かれているのでしょうか。でも、一番よく登場するのは、「e」なのに。末っ子はかわいそう、という意見も出ました。
※このNO.1の原稿は、2015年10月2日に書いたものです。
この絵本の解説と他の絵は:http://www.illust-euro.com/?cat=136
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次回 NO.2は、P.12からです。