イラスト・ユーロ 翻訳クラブ

La Princesse au Petit Pois 3

パリで見つけた絵本の〈翻訳クラブ〉 par 泉りき

テキスト La Princesse au Petit Pois  P.15〜21

La Princesse au Petit Pois

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P.15のポイント

Il en fut donc ainsi partout où le prince dirigea son carrosse:

・il en est ainsiは「こんなふうなのだ、事情はこうなのだ」です。王子が各地を訪れたところで、結果は同じ。
・doncがありますので、おそらく前ページまでに描かれた、ほんものの王女に出会えないという事実を反芻していると考えられます。
・さらに「:」で、以下に、具体的に書いています。

 

les jeunes filles des contrées des mers n’étaient pas assez délicates,

・délicat(e)は、形容詞で繊細な、心が細やかなです。否定のne pasがありますので、ここでは「繊細ではない」「態度がよろしくない」となります。イラストの若い女性も、ざっくばらんなようすですね。

→海のそばにいる女性たちは、あまり洗練されてはいませんでした。

 

les princesses des royaumes des montagnes avaient les jambes déformées à force de monter à cheval.

→山の王国の王女たちは、馬を乗りこなすので、足はぶかっこうに変形していました。

 

Bref, il n’était jamais satisfait.

→要するに、王子はどんなお姫様にも、満足しなかったのです。

 

Il dut se résoudre, le cœur déçu, à s’en retourner à la cour du roi son père sans véritable princesse à ses côtés.

・文章中にカンマで、le cœur déçuが挿入されています。これは『様態表現』と呼ばれ、どういう状態かを示す表現です。身体の部分を表す名詞が入っています。
(例)les larmes aux yeux=目に涙をためて les mains vides =手ぶらで

→王子はすっかり失望し、ほんものの王女を連れ帰るという約束を果たせないまま、父である国王の宮廷に戻ることにしました。

 

P.18のポイント

La reine ne dit pas un mot lorsque son fil revint, triste et seul,

文章の主節の主語は、la reine(王妃)です。lorsque以下に書かれた息子(王子)を見て、あまりのかわりように、声も出なかったようです。

lorsqueは「〜する時、その時」です。息子が戻った時で、どういう状態で戻ってきたのかが書かれています。triste et seul うちひしがれて帰ってきたのです。

 

mais décida(, dans le secret de son cœur, )de le forcer à trouver femme sans tarder, (qu’elle fût princesse ou non.)

文章の重要な情報だけを抽出するため、補足的な内容を( )に入れてみました。

 

mais (elle) décida, de le forcer à trouver femme sans tarder

しかし王妃は、ある決心をしました。

・décider de ~することを決意する
・le forcer à+不定詞 誰々に~させる ここでは誰にあたるのは代名詞のleで、le princeです。
・trouver femme sans tarder ただちに妻となる女性を見つける

上記が、文章の骨子です。

( )に入れた部分は、補足的な内容です

・dans le secret de son cœurは「心の中で」「ひそかに」
・qu’elle fût princesse ou nonは、elle=妻となる女性が、王女であろうとなかろうと

→「口にこそ出しませんでしたが、早く相手を見つけ、王子を結婚させようと決めたのです。

 

Le destin devait bien l’y aider.

・l’y aider l’はここではleです。le princeをさします。
・動詞aider は、aider à+こと/動詞でà以下に役立つ」となります。ここではà以下がyという中性代名詞に置き換わっています。おそらくaider à trouver femmeと考えられます。

→翻訳の一例を記します。

運命は(妻となる女性を見つけようとする)王子に、味方するにちがいありませんでした。

要するに「運命が必ずや王子に味方してくれることでしょう」となります。ここで「味方をする」とは、選んだ女性が、王子の望み通り、ほんものの王女であることです。

この絵本は、ひとつの文章がかなり長いです。文章の主語と動詞のあいだに、補足的な情報が挿入され、わかりづらくなっています。上記のように、補足的な内容は( )に入れて後回しにし、まずは重要な内容を理解してください。

 

P.19のポイント

 

En effet, peu de temps après le retour du jeune homme,

・en effetは「その言葉どおりに」とか「たしかに」です。前ページで “運命は、きっと味方してくれる”との予告がありました。これを受けて読者に、今後の展開をほのめかしているのでしょう。

un soir qu’il faisait un temps effrayant à ne pas mettre une princesse dehors

・il faisait un temps 主語のilは、王子ではありません。非人称主語のilと呼ばれるものです。ここでは天候を表します。Il fait beau.と同じです。
・un soir qu’il faisait un temps effrayant à ne pas mettre une princesse dehors

この文は、前半と後半に分けて考えます。
1)un soir qu’il faisait un temps effrayant ひどい天候(嵐)だった夜のこと
そのひどさが、どの程度だったかをà 以下で説明しています。
2) à ne pas mettre une princesse dehors
「王女」と呼ばれる存在であれば、とうてい外にいることなどありえないほど

–éclairs et tonnerre, pluie ininterrompue, vent violent –,
どのような天候状態だったのかの描写が、挿入されています。

→絶え間なく稲妻が走り、雷がゴロゴロとなり雨が降り、激しく風が吹いているのでした。

 

on frappa à la grande porte du château.

・onは、“誰か”で、人をさします。上の嵐や豪雨と間違いやすいです。
「誰かがお城の大きな扉をたたいていた」のです。

 

Comme aucun domestique n’osait aller ouvrir par une tempête pareille, le vieux roi en personne tira le portail pour le visiteur nocturne.

・commeは理由を導きます。誰も扉を開けに行かないので、年老いた王様が自ら開けに行きました。

 

P.21のポイント

La pauvre jeune fille qui se tenait dehors n’avait vraiment pas fière allure

・外にいたのは、みすぼらしい若い女性だったのです。その身なりは、お世辞にも立派とはいえませんでした。
どんな身なりだったのでしょう。「 : 」の後に説明されています。

l’eau coulait le long de ses cheveux emmêlés et de ses vêtements mis en loques par la tornade.

→雨のしずくが、もつれた長い髪に垂れ、竜巻のせいでぼろぼろになった服をまとっていました。

 

La boue des chemins détrempés avait traversé ses souliers de la pointe au talon.

→ぬかるんだ道の泥が、靴全体にしみこんでいました。

 

Pourtant, en cet état lamentable, elle annonça qu’elle était une vraie princesse.

pourtantは「それでも」 en cet état lamentable「無残な姿で」
そんなひどい格好にもかかわらず、女性は告げました。「わたくしは、ほんものの王女です」と。

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このNO.3の原稿は、2016225日に書いたものです。

この絵本の解説と他の絵は:http://www.illust-euro.com/?cat=177
この絵本のお取寄せは:http://illust-euro.ocnk.net/product/263

 次回は、La Princesse au Petit Pois  P.23~27

お断り
翻訳クラブでの翻訳は、同好メンバーの勉強や研究のために行っているもので、商業目的ではありません。
La traduction français-japonais fait partie des exercices pratiques de Honyaku Club, non pas à but lucratif, ni commercial mais juste pour apprendre la langue française.
The French-Japanese translation is part of practical exercises Honyaku Club. It is for study purpose only, not for profit or commercial.