イラスト・ユーロ 翻訳クラブ

Les autres 4

パリで見つけた絵本の〈翻訳クラブ〉 par 泉りき

テキスト Les autres NO.4 P.19 〜 P.22

 

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絵は、角にスケッチブックに絵を描いている一部が描かれ、道ゆく人々が見えます。また、街の路上でのシーンに戻りましたね。

 

 P.19のポイント

ON PEUT S’ASSEOIR DANS UN COIN ET DESSINER LES AUTRES QUI PASSENT.

peutの、pouvoir+inf.は、「〜できる、〜してもよい」という許可を示す場合があります。街角、おそらくカフェの席に座り「通行人をスケッチしてもかまわない」ということですね。

 

 P.20のポイント

次の行も、ON PEUT AUSSI で始まっていますね。前ページと同じ構文です。

SE CONTENTER DE LES REGARDER

この se contenter de+inf.は、決まり文句で、〜するにとどめる 〜するだけである ですので、「見ているだけである」と言うことです。

前ページのスケッチをするに対して、通りかかる人たちを見ているだけでもいい、という対比です。

OU FAIRE SEMBLANT DE NE PAS LES VOIR.

文頭にOU(「あるいは または」)がありますので、前文との並列関係になります。

この行を完全な文章にするなら、前行のON PEUT をひきつぎ OU ON PEUT FAIRE SEMBLANT DE NE PAS LES VOIR. です。

「あるいは (実際は人たちを見ているけれど) 見ないふりをしてもかまわない」でしょうか。

ON N’ARRIVE JAMAIS À SAVOIR EXACTEMENT CE QU’ILS FONT,

arriver à +inf.は、・・・うまく〜できる、・・・に成功する

exactementは、「正確に」という副詞です。

「知るに到ることはありません」をよくある表現にしますと「知ることはできない」「わからない」となります。

 

なぜわからないのか、の説明が以下の文章です。

PARCE QUE LES AUTRES, IL LEUR ARRIVE TOUJOURS PLEIN DE CHOSES À LA FOIS.

les autres は、次に続くil leur arrive…のleurに当たります。

Arriver qqch(もの) à qqn(人)は「〜に、〜が起こる」という決まり文句です。

また、この文章のil は非人称のilと呼ばれるもので、主語ですが何もさしません。

翻訳の時は、間接目的補語のleurを主語のように訳すると自然です。

「その人たち(他人)に、いつも同時にたくさんのことが起こっている、だからとらえきれない、と言っています。ひとり一人の正確なことは、分からない。

つまり「その人たちは、いつも同時にいろいろなことをするから」ですね。

 

このブロックは、この本のテーマであるles autres(他の人たち)とon(自分たち)の関係が、くっきりしています。

 

  P.22のポイント

次のページも、街角のシーンですね。向こうに噴水のある広場が見えます。キヨスクの店頭には、北アフリカでよく見かける、民族衣装を着た人が立っています。また、向こうのお店から、頭にアンテナを立てた縫いぐるみのようなものを着た人が出てきました。パリでは、こんな珍しい人にも出くわすことがありますね。

このページの文章は、むずかしいです。この本の目的が明らかになっています。

よい話が示されているので、がんばって読んでみましょう。

LES AUTRES PEUVENT VENIR D’UN PAYS DIFFÉRENT, PARLER BIZARREMENT OU PORTER DES VÊTEMENTS ÉTRANGES.

このpouvoir+inf. は「~かもしれない」という感じでしょう。

「他の国から来た人がいるかもしれない」といっています。

porterは、着るですね。「また、変な話し方(アクセントや外国語などで)やお国柄のあらわれた服を着た人も・・・」ということでしょう。

「人々は、それぞれみんな故郷を持ち、その土地の言葉を話します。

その土地独特の服を持っています。」このような訳をされた方がいらっしゃいます。とてもよい訳ですね。

もしくは、他の衛星から来た人も(いるかもしれない)。イラストのお店から出てきたのが、この文章の宇宙人を表しているようです。

ET QUI SAIT ALORS COMMENT ILS SONT?

comment+主語+être は、主語の様子、状態を訪ねる際に使います。

「彼ら(別の惑星から来た人たち)が、どんな姿をしているのか、誰がわかるだろうか?」

QUI SAIT 誰がわかるだろうか?という言い方は、一種反語のようで「誰も知るはずもない」というニュアンスが含まれています。

OU ENCORE DU PASSÉ, ALORS ILS NE SONT PLUS.

別の惑星から来たひとかもしれない、と前行で書いてあります。

今度は「過去から来た人かもしれない」と。 du passéは、「過去から」です。

「だから今はもう、ここにはいないのだけど」 ne plusは、「もう~ない」です。

MAIS ILS ONT LAISSÉ DERRIÉRE EUX UN PAQUET DE LIVRES,〜、〜、〜ET DES VILLES ENTIÉRES.

「しかし、(彼ら(過去の人)はもうそいないのだが)たくさんの本、絵、歌、そして歴史を残していった。」

なかなかよいところですね。

 

最後のブロックです。

注意ポイントは、ilsとonを、しっかり区別してとらえましょう。

さきほど「過去から来た人もいるかもしれない」と言いました。

ILS SONT AUSSI DANS LE FUTUR,LES AUTRES,ET ILS ARRIVERONT BIENTÔT,

過去に続いて、未来の話になります。

「未来にもles autresはいる、そして彼らはまもなくやってくるだろう。」と言っています。

PEUT-ÊTRE QU’ON NE LES RENCONTRERA PAS, MAIS EUX POURRONT TROUVER TOUT CE QUE NOUS, ON AURA LAISSÉ.

peut-être qu’on のonは(現在の)わたし、私たちです。

mais eux しかし彼ら(未来のles autres)は、見つけるかもしれない。

何を見つけるのでしょう? 私たちの残したものを(ce que nous, on aura laisse)です。

aura laissé は、未来形+過去分詞ですから、前未来形ですね。未来において完了することで「その時にはこうなっているだろう」という表現です。

「過去の人たちが、今の自分たちに、さまざまなものを残してくれたように

私たちもまた、未来の人たちに、残していく。それを未来の人が見つけるだろう」そんな内容です。

 

今までこの絵本の文章は、街の中でのさまざまな出会いの物語でした。すなわち『空間移動』だったのですが、ここに来て『時間移動』が現れました。過去そして、未来からの視点が出てきて、立体的になり、物語が深くなりました。

格調が高くなりましたね。

 

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このNO.4の原稿は、2015年7月26日に書いたものです。

この絵本の解説と他の絵は:http://www.illust-euro.com/?m=201503&paged=4


この絵本のお取寄せは:http://illust-euro.ocnk.net/product/221

次回 NO.5は、P.23からです。

お断り
翻訳クラブでの翻訳は、同好メンバーの勉強や研究のために行っているもので、商業目的ではありません。
La traduction français-japonais fait partie des exercices pratiques de Honyaku Club, non pas à but lucratif, ni commercial mais juste pour apprendre la langue française.
The French-Japanese translation is part of practical exercises Honyaku Club. It is for study purpose only, not for profit or commercial.