ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
SSL グローバルサインのサイトシール
 

作家のお国柄

| 2005年05月10日 19:00 | 吉村正臣 |

「作家のお国柄」が出るでしょうか…との話を聞くときがあります。
ヨーロッパ以外にも、日本、アメリカ、カナダなど多くの国の絵を見ていますし、いっしょに仕事をする機会もあります。 そんな経験から言うと、私は、「お国柄」はあまりないのではないかと思います。 絵を描くテクニックは完全にといっていいほどボーダレスです。画材も世界中に行き渡っています。また、テレビ、映画、雑誌、さらには教育によって、『美しさ』を判断する『目』も、一定の基準が定まってきています。
ただ、努力をして、生まれ育った国や地域の、伝統的『絵』を描く作家もいます。この人たちなら、『お国柄』を表現した作品を生み出せます。
たとえば日本なら、『日本画』や『大和絵』の勉強をした作家は、いわゆる日本的絵を描かれています。バリ島には、バリアートがあります。

外国の絵本を見たときや、このイラストユーロの作品集をご覧になったとき、日本で見られないようない人々の顔、衣装、風景などが描かれています。これは、作家の内部から染み出た『お国柄』ではありません。主題(物語やテーマ)にあわせて、描くからです。
中世のお城の物語であれば、その時代のその地域の資料を参考にして描きます。ですから、『お国柄』がシャープに表現されるのです。自国や住んでいる周辺地 域はよく知っているし、身体にしみこんだものがあるので、それをテーマにしたときに、絵がいきいきとよくなるということでしょう。

いい作家は、絵を描く技術力が深く、さらに、時代考証やストーリーを考える力も鋭いので、『お国柄』が豊かに表現された絵もかけるし、また別 に、まったく違ったテーマのすばらしい絵も描けるのです。いいイラストレーターほど、それが可能です。
作家個人がそれぞれ国であり、それぞれが、『作家柄』を持っていると思いたいです。

基本的にはそうなのですが、作品の奥から、作家の生まれ育った風土や習慣が、どこからか湧き出ていることがあるかもしれません。それが、絵を豊かにしているのでしょうか。