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運命のひとに出会うまでの恋の物語を、緻密なタッチで描きました

| 2023年03月30日 05:00 | 吉村正臣 |

Fanny Ducassé ファニー・デュカセ(フランス)

Louve
森のルーヴ

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フランス語  翻訳付

ファニー・デュカセは、まだ20代の作家です。大学で現代文学を、ファッションの名門校・パリ・クチュール組合学校で学んだのち、イラストレーションの世界に入った異色の経歴の持ち主です。彼女のデビュー作品で、文学を学んだ人らしく、言葉あそびや、地方に特有の動詞が登場するなど、楽しいテキストです。

森に住む、感受性豊かなルーヴが、運命のひとに出会うまでの恋の物語です。
ルーヴ(Louve)は、もともとはメスのオオカミのこと。このタイトルもまた、英語の愛(Love)との言葉あそびになっているのかもしれません。

木々、木の葉が、本当に緻密に細部まで描き込んだ作品です。といって、部分にとらわれていることなく、バランスよく構成されています。細いペンで描き、そこに透明水彩か、で着色。その際、重ね塗りをし、微妙な色の変化を作っています。ペン描きの単純さを、色彩の重ね方でうまくカバーし、重厚さを出しています。森の奥や地面の黒い部分が、この絵を深くしていますが、この部分も、色の重ねで暗部を作っています。細かく隅々まで緻密に描くことも、個性化には大事なことです。

≪翻訳の一部≫      翻訳:泉 りき

かつては、森のずっと奥に ルーヴが、木造の小さな家に住んでいました。
ルーヴは、赤い髪をしていました。姿は女性のようです。
でも「ルーヴ」はふつう、メスのオオカミのことなのです。

空がバラ色に染まる、たそがれ時になると
ルーヴは、甲高い声で叫びます「キツネたち。ココアができたわよ!」
ココアにミルクが溶けるみたいに、ルーヴも、キツネたちといると、見分けがつかなくなります。
ルーヴがキツネでないことを、みんなわかっていました。
キツネと見分けがつかない…だったらルーヴは、やはりオオカミなのでしょうか。
ルーヴの家の食卓には、食いしん坊のキツネたちが、ココアを待ち構えていました。
火で温めたミルクのように、母親みたいに、ルーヴはキツネをあたたかく迎えます。

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