パリ・メトロ12駅に階段アートが出現!　さすがにアートの都！！

｜ 2022年06月01日 08:00 ｜ 吉村正臣 ｜

パリ交通公団（RATP）とアートプロダクション＋アーティストがコラボ

パリ交通公団（RATP）は設立以来、輸送と文化の融合は、RATPにとって常に必要不可欠と考えています。芸術や文化を身近なものにし、お客様の日々の移動をよりスムーズで楽しいものにしたいという強い思いがあります。
2022年4月に、アートプロダクションのQuai 36と協力し、12駅のメイン階段を飾りました。

日本では、階段は広告スペースとなりアートとはほど遠い。また、ストリートアートは迷惑行為としてみられ、フランスのように成長していないように思われます。掲示する側、描く側、双方の理解とアート力を高めなくては、残念ながら実現しないでしょう。

※アートプロダクションのQuai 36…Quai 36（ケ・トラントスィス）は、2015年に結成されたアーティスト集団です。都市にある公共の広場、空地、学校、駅、街路をより魅力的にアートで再生することをめざし、活動しています。RATP（パリ交通公団）の駅階段のほか、モンパルナスタワー、サン＝ラザール駅の通路、パリとその郊外の集合住宅や空地の壁面など、いたるところにQuai 36の活躍があります。

ここでは、アーティスト4名を取り上げます。

メトロ1号線「リヨン駅（Gare de Lyon）」:アーティスト：ラトゥ(Ratur)

リヨン駅はフランス国鉄の主要駅。パリからリヨンそして地中海方面に行く玄関。そこを通るメトロ1号線の駅です。パリの街を東西に横断。凱旋門やルーブル美術館、シャンゼリゼ通りに行く際に利用します。

ラトゥは1983年ル・アーブル生まれ。壁画は兄と、また仲間4人で、さらに1人で描きます。ハイパーリアリズムの作風で、筆で塗られた独特の色使いと、身体と顔のダイナミックで大胆な構成によって表現される独特のスタイルを示しています。

壁面に描かれた作品には、ドレープや肉体、肌色の表現など、ディテールのセンスが光っています。

ラトゥの他の作品

メトロ10号線「ラ・モット＝ピケ＝グルネル駅（La Motte Picquet Grenelle）」:アーティスト：クリス・ピュディ(Chris Puddy)

メトロ10号線は、パリ西部のブローニュの森に近いブローニュ＝ポン・ド・サン＝クル駅から東へ延びてセーヌ川を渡り、オステルリッツ駅に至ります。国鉄オステルリッツ駅からはトゥールなどを経由してボルドーに至る路線の起点。ラ・モット＝ピケ＝グルネル駅はパリ中央部のやや南西寄り、15区にあります。
クリス・ピュディはパリを中心に活躍するアーティスト。現在はストリートアートで注目を集めています。エコール・マルチメディアのマスターコースでグラフィックデザイン、アニメーション、視聴覚デザインを学びました。グラフィック・デザイナー、アートディレクターとして、大手通信会社で、WEBデザイナーとしてビジュアル全般を担当したこともあります。

クリス・ジュディの他の作品

メトロ13号線「メリー＝ド＝クリシー駅（Mairie de Clichy）」:アーティスト：アグリュム(Agrume)

メトロ13号線はパリの北西方向と北方向から南に伸びる2つの分岐線が合流し、パリ中心街を南に進み、モンパルナスを経て市外に、シャティヨン＝モンルージュ駅に至る。メリー・ド・クリシー駅は、外周道路の北、クリシー市役所の広場にあります。
アグリュムは1993年フランス生まれ。記憶や言葉から、イメージが浮かび上がり作品を形づけます。キャラクターは自分を前面に出すことなく、その場の雰囲気や環境に溶け込み、周囲のものと共に存在します。夢のような表現、おとぎ話のようなシーン、ロマンチックなトーン、メランコリックな詩情が感動を生みます。

アグリュムの他の作品

RER/A号線「マルヌ＝ラ＝ヴァレ＝シェシー駅（Marne La Vallée-Chessy）」 :アーティスト：ズデー(Zdey)

パリを東西に横断する5つの支線からなる高速鉄道。ラ・デファンス、シャトレ-レ・アル、パリ・リヨン、ヴァンセンヌ城のヴァンセンヌ等各駅を通る。この駅はパリから東へ30㎞ほど、ディズニーランド・パリの最寄り駅です。
ズデーは1989年香港生まれ。1997年渡仏。金融の修士号を取得後、インド・ムンバイに。そこで、昼はスーツ、夜はグラフィティ・アーティストという二重生活を送っていた。2014年に辞職し、生涯の情熱を捧げるためにパリに戻り、パリやその他の場所で描いています。

ズデーの他の作品