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厳しい自然の中の、動物の姿を静かな視線で描いています。

| 2019年02月25日 09:00 | 吉村正臣 |

Lucía Cobo ルシア・コボ(スペイン)

L’ourse 
春を待ちながら

 

フランス語 翻訳付
出版社:Didier Jeunesse

 

スペイン・ガルシア地方出身。書店を営む父と教師の母のもと、幼少期より本に囲まれ、絵を描くことが好きでした。エンジニアの勉強を積んだのち、グラフィックデザイナーとして経験を積んだのち、スペインのラ・コルーニャ(ア・コルーニャ)にあるパブロ・ピカソ美術学校でイラストレーションを学びます。スペイン国内、スペイン語圏のメキシコやアルゼンチンのイラストレーション・コンクールで入賞。2013年マドリッドi con i学院の絵本イラストレーション・マスタークラスを修了。2015年絵本デビューを果たしました。

テキストは、スペインの著名な生物学者で、子ども向けの科学本の著者でもあるホセ・ラモン・アロンソ(1962年生まれ)によるものです。冬を迎え、一頭のクマが食糧を求めてさまよいます。見つけた果物でおなかいっぱいになり、冬眠に入ります。温かい日ざしがねぐらにさしこみ、少しずつ春に向かいます。冬眠の間に、新しい命が宿り、出産を経験。春には新しい家族を迎えます。厳しい自然の中で、生命を営む動物の姿を、あたたかく静かな視線で描いています。生きものについて考えたくなる絵本です。

細かくたいへん丁寧な絵です。主人公の熊の毛で覆われた体が、色鉛筆でしょうか、毛1本1本、方向を考えて、同じ指圧・ストロークで描かれます。その方向で、目のくぼみや鼻の高さ、体各所の立体感を描き出しています。冬ごもりのシーンですから外気は寒そうですが、熊の体はとても暖かそう。また、木々との対比で。大きなクマとわかります。雪や石ころの描き方を見ても、表現力を持った人とわかるでしょう。

<翻訳の一部>  翻訳:泉 りき

秋になった。
クマは、森の奥へ奥へと入っていく。
食糧を探している。仲間はいない。
くだものを見つけ、すっかりたいらげてしまう。
残った種が、からだのあちこちに飛び散っている。
空気がどんどん冷たくなっていく。
日は一日ごとに短くなる。
大きな岩のすぐ下に、穴を掘る。
まもなく、雪があたり一面をおおう。

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