ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
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エンディングがとても心に残る絵本。多彩な表現方がミックスされています。

| 2019年03月27日 17:52 | 吉村正臣 |

KAATJE VERMEIRE カーティエ・ヴェルメール(ベルギー)

Élephant a une question
それはなぜ?

フランス語 翻訳付
出版社: CotCotCot Editions

カーティエ・ヴェルメールはベルギー・フランドル地方出身(1981年生まれ)のイラストレーターでグラフィック・デザイナーです。ゲントの王立美術学院で、グラフィックデザインと広告を専攻。卒業後、絵本のイラストを手がけます。オランダの絵本賞Boekenpluim、フランドル地方ロンセ市の絵本大賞など、彼女の作品は、国内外で高く評価されています。2010年モントルイユ絵本市、2013年北京国際ブックフェア、2015年ベルリン国際文学祭など、主要な図書市に招待され、人気を集めています。2015年アントワープ市母子センターの壁画を制作しました。この絵本のオランダ語版”De vraag van Olifant”は、2011年ドイツ・ミュンヘン国際児童図書館のホワイト・レイブンズ・フェスティバルのコンクールで、特別賞を受賞しました。

年に一度、丘の上で開かれる集まりは、参加者の誰かが日ごろの疑問を口にし、みんなで知恵を出し合って解決する場のようです。今年はゾウが質問します。「恋してるって、どんなことでしょうか?」ほかの参加者は、自分の経験や考えにもとづいて、さまざまな角度から、答えようとします。参加者のジャンルは、人間、昔話の登場人物、動物、自然、事物など幅広く多様です。それを取り仕切るのが、野心にあふれるアリです。本来の議長のカメが欠席のため、ここぞとばかり、一気に目立とうとします。
この絵本のテーマは「百人寄れば文殊の知恵」といえます。好き勝手なことを言う参加者を見下していたアリが、会議が終わると、ひとりさびしくなり、さびしいという感情がどうして出てくるのか、と自問するところで絵本は終わります。このエンディングが、とても心に残ります。

想像力も絵も、とても優れた人です。とんでもない発想をし、とんでもない場所にとんでもないものを集め、それを1点の絵に仕上げています。構成や色合いの秩序だてが上手なのでしょう。画面にインパクトがあります。重厚なディテールを精密に描く技術から、色合いの優しい平面的な絵まで描く、幅広いテクニックを持っています。人や、動物のデッサン力も確かですね。板の上に版画のような仕上げ、不透明水彩のしっかりした塗り込み、コラージュのような部分・・・PCでの仕上げでしょうか。ミックスされた多彩な表現です。

≪翻訳の一部≫  翻訳:泉 りき

年に一度、丘の上で開かれる会議の日。
ゾウが日ごろからの疑問を口にした。
以下は、そのときのようすである。

これまでの経験に基づき、各自がその答えらしきものを言った。
妻の病気の看病のため、欠席のカメ氏を除く全員で。
アリ氏は有頂天だった。
出世を望むアリ氏にとっては、またとないチャンスだった。
討論を取り仕切ることができるからだ!
この機会に、アリ氏はメガネを購入した。
メガネをかけて話すと、注目効果絶大だ。

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