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大人の方にこそ楽しめる、テキストとアート

| 2019年05月14日 23:31 | 吉村正臣 |

Rébecca Dautremer  レベッカ・ドトルメール(フランス)

Les riches heures de Jacominus Gainsborough
人生にありがと

フランス語 翻訳付き
出版社:SARBACANE

 

レベッカ・ドトルメールの最新作・大型本です。2018年秋に発売され、同年12月に開催されたモントルイユの絵本市・注目の1冊として、出版社のブースは、この絵本を大きく扱っていました。レベッカ・ドトルメール(1971年生まれ)は、プロヴァンス地方の都市ギャップ出身。すぐれたイラストレーターを輩出するパリの国立装飾美術学校を卒業。教授陣はすぐに彼女の才能を認め、イラストレーターになるように導きました。1996年絵本デビュー。出版ごとに人気が高まり、2004年絵本L’amoureuで、フランスのすぐれた絵本に与えられるソルシエール賞に輝きます。その後は作品集が出版され、原画のコレクターも存在するなど、現代フランスを代表するイラストレーターです。

ウサギのジャコミニュスの生涯を描いた作品です。1800年代末に生まれ、幼いころの事故で、片足が動かなくなります。好奇心があり、仲よしたちに囲まれ、成長していきます。青年期に体験した戦争のつらさ、恋、結婚。そして父親となり、子育てに追われます。生きる喜び、苦しみ、忘れられないひととき、かけがえのない者たちとの出会い…作者のレベッカ・ドトルメールは、今作ではじめて動物の擬人化に挑みました。名もなく貧しくても、その瞬間を全うすれば、人生はすばらしい!幼年から青年、壮年そして老年へと変化する心と体力。世界が広がり、現実の社会と向き合い、ものの考えかたや幸せの意味も変わってくるのだと、小さかったウサギのジャコミニュスは、私たちの先輩となって教えてくれます。

さすがに上手、すばらしい! 大胆でありながら精密に描かれています。一部分一部分は正確なデッサン。人々の顔、体、動作、背景の建物、木々、風景がリアルです。その上で、ダイナミックな擬人化、豊かな想像と現実のファンタジックな、この作家の独特の世界が描き出されています。色彩も、目をみはる色使いのページに続き、シックな画面が現れます。一方、白い画面に、主人公のウサギの様子は愛情のある視線で描かれます。大人の方にこそ楽しめる、アート作品でしょう。

<翻訳の一部>  翻訳:泉 りき

ベアトリクス・ゲーンズボローは、末孫の誕生に立ち会った。喜びでいっぱいだった。
「この子に、おじいさんと同じ名前をつけましょう」
「少し大げさな名前な気がしますが」孫を産んだばかりの嫁のウージェニーが言った。
「いいえ、そんなことありません。ジャコミニュス・スタン・マルロー・ルイス・ゲーンズボロー。しゃれていて今どきの名前だわ。かわいいこの子にぴったりよ!」ジャンとウージェニーのゲーンズボロー夫妻は、祖母にあたるベアトリクスと子どもが生まれた喜びを分かち合いたかったので、提案をむげに断ることもできなかった。最初の名前をとって、ジャコミニュス・ゲーンズボローとした。

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