ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
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テープアートデッサンという技法を開発。物質的な表現

| 2019年10月12日 09:30 | 吉村正臣 |

Nicolas Lacombe ニコラ・ラコンブ(フランス)

La Fleur qui me ressemble
ロイ・フラー アール・ヌーヴォの女神

フランス語  翻訳付
出版社:l’élan vert

 

イラストレーターで造形作家のニコラ・ラコンブは、フランス南西部トゥールーズの出身。トゥールーズ美術大学で現在美術の知識を深めます。浮世絵をはじめとするアジアの伝統的な印刷技術にヒントを得て、テープアートデッサンという技法を自ら開発。プラスティック・イラストレーターと呼ばれ、物質的で透明感に満ちた不思議な表現を作り出しました。若手のアーティストとして注目されています。

伝説のダンサー、ロイ・フラーが誕生した…一夜の夢のようなフィクションです。

主人公は孤独な少女・ルイーズ。夜ごとパーティが開かれるような、大きな屋敷に住んでいますが、人見知りで華やかな雰囲気になじめません。あるパーティの夜、うりふたつの少女メアリーと出会い、いっしょに過ごすことに。密かに壁に描いた花をメアリーに見せようと自分の部屋に案内します。メアリーは絵を見たとたん、ベッドのシーツをはぎとり、命あるもののように動かします。メアリーとルイーズは踊ります。メアリー=ルイーズは、ロイ・フラーの本名。

接着フイルム(スコッチ)を、印刷物や厚塗りのカラーインク紙の上に貼り、指などで描きたい模様をこすり、色紙の色をスコッチに転写。この転写した色や柄を、別の紙に貼り付けたり、再転写したりして画面を作成。フォトショップで仕上げます。色の重なり合いや転写時のかすれ、フイルムのしわなどの偶然も重なり合い、肉筆では表現できない作品を作っています。
ニコラ・ラコンブの実作業をご覧いただけます。 https://vimeo.com/183713959

≪翻訳の一部≫  翻訳:泉 りき

今夜。客がまたやって来るだろう。とても真面目な人たちや、したり顔の大物も。屋敷はとてつもなく広い。わたしは、また行儀よくしないと。おそらく、そう。不機嫌な態度をとってはいけない。

客が到着する。少し太ったことを知られたくない。母親にはこんなふうに言うだろう。「娘さん、ずいぶん大きくなって!」。それからほどなく、わたしを質問攻めにするのだ。現在のこと、将来のこと、学校のこと、あいかわらず花が好きかどうか、など。恥ずかしがるわたしを、ママはお客様の前に出そうとする。「ルイーズ、怖がらなくていいの。返事をなさい。さぁ、返事は」居間に灯りがともるだけで、部屋全体が暑くなるようだ。誰もわたしの言うことなど、期待していない。黙っていられたら、いいのだけれど。

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