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2019年フランス国民教育省選定図書に選ばれました。

| 2020年05月14日 15:52 | 吉村正臣 |

Irène Schoch イレーヌ・ショッホ(スイス)

La soupe aux cailloux moelleux
とろける小石入りのスープ

フランス語 翻訳付
出版社:Les éditions des éléphants

 

1972年生まれ。美術史を学んだのち、パリ国立応用芸術工芸高等学院(ENSAAMA)で広告美術を、さらにストラスブール装飾美術学校(HEAR)でイラストレーションを学びます。1998年からフランスとスイスでイラストレーターとして活動を開始します。動物を描くのが得意で、これまで出版した絵本も、さまざまな動物が登場します。

彼女の最新作であるこの絵本は、それぞれが知恵やアイデアを出しあい、協力し、シェアすることの楽しさを描いています。2019年フランス国民教育省選定図書(小学校1年生、2年生向け)になったほか、パリ郊外・ナンテール市では、市内の幼稚園児にこの絵本が贈呈されました。

野ウサギのルーク(Leuk le lièvre)といえば、西アフリカの伝承では賢いいきものの代表格です。ルークを主人公にしたさまざまな物語が存在します。この絵本もそのひとつで、作者はマリ出身です。

舞台はとあるアフリカの村で、食糧のない時期です。村に来るまでルークは数日間、何も食べていません。最初に訪ねたのは、ケチなハイエナのブーキ宅。架空のメニュー「とろける小石入りのスープ」の話を持ちかけたルークは、ブーキから鍋を借り、味のないスープを味見させ、材料のひとつを手にします。するとゾウ、ヒョウ、サル、ワニら村に住む全員がやってきて、おいしいスープ作りに足りない調味料、野菜などを持ち寄り、調理を分担します。ついにスープが完成し、参加した全員がおなかいっぱいになって、大喜び。スープのおいしさが伝わってくるようなお話です。

大胆で楽しい絵です。アフリカの動物たちの愉快な仲間のお話ですから、色彩に野性味があり、さらに、動物たちの擬人化が多彩で、個性がみごとに表現されています。いろんな動物が登場します、中でも主人公のウサギとハイエナは人の表情以上に描かれ、楽しいかぎり。不透明水彩絵の具で描き、切り抜いて貼り合わせているよう。ですから、それぞれの絵の具が混じり合うことなく、クリアな画面とし、一部にグラデーションを使い絵に優しさを出しています。

≪翻訳の一部≫  翻訳:泉 りき

食糧がない時期だった。野ウサギのルークはガリガリにやせていた。
サバンナを横断する旅に出て、数週間がたち、何も口にしなくなって数日がたっていた。
わずかなイモの根や茎、自生の果物もない。ないないない。空腹をいやすものは何もない。
ルークは、おなかは空っぽでも、頭には知恵が詰まったウサギだった。

ようやく遠くのほうに、村が見えてきた。
村に入ると、ためらうことなく一軒目の家の玄関をたたいた。
「誰だ?いったい」ハイエナのブーキの、いらだったような大きな声が聞こえた。
それほど悪い巡り合わせではなかった。ブーキは、ケチな食いしん坊でとおっていた。
「オレオレ!ルークさ」
「ルゥーーーク!いったい何の用?食糧不足の時期は、よその家の訪問は禁止よ。

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