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エマニュエルの絵の多くは、油性マーカー(日本の商品名「COPIC コピック」といえば分かりやすいでしょうか)で描かれています。この特徴は、マーカーが湿っている間に上に塗ると、なめらかな溶け込みができます。また、乾いてから同じ色を重ねて塗ると濃淡の差が、異なった色を重ねると中間のような微妙な色が生まれます。これらの手法を使って、色合いの深さを出します。この拡大部分は、黒の輪郭をベースに大胆に描き、重量が感じられる固まりとなっています。この描き込み部分と、シンプルなボディやスカートが対比し存在感が出ました。緑と赤の補色の美しさも見事です。
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エマニュエルの絵の特徴は奇想天外なシーン。そこが大いなる魅力で世界的に評価を受けているのです。この顔や下半身がない女性の身体、一見 “おどろおどろしさ”を感じますが、しかし身体がなくても、違和感なく、美しい絵となっています。服を着た部分の身体のボリュームがしっかりしていることと、シュールな不可解さのバランスが程よい状態なのでしょう。赤とグリーンの強いコントラストも見事で、シャープな、現代アートにしています。発想を裏打ちする技術にも注目。油性マーカー(コピック)で、ものの質感を描き分けています。細い黒線を効果的に使い、にじませ、重ね塗りなどで表現されています。描く前の計画がよくできている作品です。印象的な作品です。
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エマニュエルはヨーロッパでは非常に個性的な作家として高く評価され、有名な賞を受賞しています。彼女の絵の特徴のひとつに、東洋、さらに日本の模様やグッズ類が多く描かれています。フランス人は、とくに彼女は日本美が大好きです。左の女性は、日本の模様からヒントを得た柄の袴をつけ、下駄をはいています。(飛ばしている凧は中国的かも。)彼女はとても親日的です。とくにお嬢さんの部屋は日本のモノであふれています。このように、何か異常なまでの興味や追求心が絵の個性として溢れてくるのでしょうね。
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ファッション性に優れていることも、この作家が人気のある要因でしょう。どの作品も衣装が先端的なのです。パリのファッション学校が彼女のイラストを素材に作品を発表、注目されました。また洋装品が発売されるに至っています。この絵も、アウターからインナーまで一覧されていますが、奇抜でオシャレです。基本パターンは同じで、コートの色合いと髪の色を変えるだけで、強さとやさしさの違いを際立たせます。どちらがお好みでしょうか。
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“インパクト”があるって、どんなこと・・・以下のように考えています。
見慣れているモノが出会うことで起こる違和感・・・これが大きいほど衝撃となる。この絵の場合、セーターはよく知っているが、肩部が髪の毛で編まれている、ここに違和感を持つ。さらに本来、頭部が描かれるのに、草花が伸びている。この、とんでもないぶつかりが、見慣れた人物画のように描かれる。各部はよく知っている、が、異物が組み合わされたことにより、大きな違和感のある絵となっている。作家とは見る人に衝撃を与えるかを常に考える人ですね。