イラスト・ユーロ 翻訳クラブ

ISSUN BÔSHI 2

パリで見つけた絵本の〈翻訳クラブ〉 par 泉りき

テキスト ISSUN BÔSHI NO.2  P.7 〜 P.14

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① P.7のポイント

Un jour, Issun Bôshi trouva ses parents et leur dit :

「ある日・・・」から始まり、ストーリーが具体化してきました。

trouva=trouverの三人称単数の単純未来形です。(人に)会う、出会うですが、この場合、両親に会うというのはおかしな状態ですから、「一寸法師は、両親におりいってお願いをしました。」という訳がいいですね。

さて、何をお願いしたのでしょう。以下のように話しています。

-J’ai décidé de partir à l’aventure.

「わたしは、冒険の旅に出ようと決めました」

Le monde est grand, surtout pour moi ;
Je trouverai en ville un destin à ma mesure.

「世の中(世界、世間)は、とても大きい、特にわたしには。」

この行の後ろについた「;」(point-virgule)は、同じような性質の二つの文章をつなげる場合、少し間をおく感じです。日本語にする場合は、「、」(読点)や「。」(句点)と考えると、訳しやすいですね。

trouveraiは、発見する、見つけるを意味する動詞trouverの単純未来形となっており、”意志”を示すニュアンスが読み取れます。

un destinは、前途とか将来、運命などの意味です。

à ma mesureは、自分のサイズにあった、自分の身の丈にあった・・・から、自分にあった

「自分にあった、前途を探したい」と言うことです。

Ses parents étaient très émus : sa mère lui donna
un bol de riz qu’il posa sur sa tête et son père
lui confia une belle aiguille qu’il passa à sa taille.

両親は彼の志に、大変喜びました・・・と訳された方がいらっしゃいます。とてもいい訳ですね。

お母さんは、頭にかぶるお椀を与えました。お父さんは、身につけるのにちょうどよい長さの針を持たせました・・・というような訳でしょうか。

ここには「:」deux-pointsが登場します。deux-pointsについては、たいへんすぐれたオンラインフランス語講座である「北鎌フランス語講座」の文法編から引用させていただきます。

http://class.kitakama-france.com/index.php?FrontPage

『同格・言い換え・説明を追加する場合によく用いられ、「つまり」「すなわち」と訳すとぴったりくる場合が多いと思いますが、特に訳さないほうが自然な場合もあります。』

Ainsi paré, il fut fin prêt. Et il partit.

両親から贈られた物などを身につけ、準備を整えて、出発しました。

 

・P9~11 には、山を越え、川を渡り、危険を冒しながら旅をする様子が描かれています。はるか遠くまで、一人の旅のようです。

 

② P.12のポイント

「世の中(世界、世間)は、とても大きい、わたしとても小さい。」と、再び言っています。

 

③ P.14のポイント

P.14に、大きな赤い顔の、怖そうな男が、木陰から顔を出して、一寸法師を驚かせている絵が描かれています。

文章の長いページです。

Alors qu’Issun Bôshi ramassait des brindilles en forêt pour faire unfeu,

alors que… “・・・なのに、であるのに、・・・の時”を表す句です。

「さて、一寸法師は、火を起こすために、森で小枝を集めていた時・・・」

つぎからの行は、少し苦労しますね。

Il rencontra, au détour d’un chemin, drôle de trogne, drôle d’odeur, une créature comme il n’en avait jamais vue: géant, velue et biscornue.

一寸法師は、道の曲がり角で出会いました、・・・・さて、何と出会ったのでしょう、その後に長く説明しています。

「奇妙な赤ら顔で、おかしな臭いのする、今まで見たことのないヤツ(に、出会った)、巨人で、毛深く、不格好だった。」と訳してみました。

une créatureを、いろんな角度から説明していますので、1行で書かれていますが、分解して日本語にしてみるとわかりやすくなる場合もあります。

Elle lui lança :

このElleは、“彼女”ではなく、une créatureをさすので、女性形になっています。

以下、変なヤツが言っています。

-Le petit homme n’avait pas peur et répondit :

Le petit hommeと書かれていますが、「一寸法師」もしくは「一寸法師」とした方がいいでしょう。

「彼は恐れることなく、答えた。・・・(以下のことですね。)

J’ai un marché à te proposer.

ここは、間違われた人が多かったところです。

わたし(鬼)は、一つの取引を持っている。それは、à te proposerですね。

“à+不定詞”を、辞書で調べてみましょう。“・・・するための、・・・に値する”など、必要や目的を示す例文が見つかります。

(例)J’ai une pomme à manger. わたしが食べるためのリンゴを持っている、ということです。

ここは、・・・おまえに、提案すべき取引がある・・・・というような意味でしょう。

「ひとつ、取引をしようではないか?」と訳してみました。

Si tu suis ce ruisseau, il te mènera à la grande ville.

suis=suivreの現在形 “ついていく”と言うことです。

mènera=menerの未来形 “連れて行く”

“もし、この小川についていけば、それ(小川)は、大きな町に(おまえを)連れて行くだろう。つまり・・・

「この小川沿いに行けば、大きな町に行き着くだろう」としました。

以下・・・

この町では、大きな領主の館を見つけるだろう。この館で、たいそうな宝物を見つけるだろう。・・・となっていますね。

Tu me le rapporteras ! お前は、それを、俺に持ってくるんだ。・・・鬼が言っています。

Alors, ・・・そうすると・・・というようなことですね。

mon maillet magique , Uchide no Kozuchi , « celui qui exauce les souhaits » ,

この3つのブロックは、小槌のことを言ってますね。

「願いを叶える、不思議な打ち出の小槌」のような訳でしょう。

この打ち出の小槌が、

te rendra la taille que tes parents ont oublié de te donner.

(que 以下)お前の両親が、お前に与え忘れた背丈を、(お前に)返すだろう・・・

という直訳です。

「この打ち出の小槌で、両親がおまえにやれなかった身長を、のばしてやろう。」となります。

Qu’en dis-tu?

鬼の台詞ですね。 Qu’en pense-tu? と同じで、どう思う?と言うことです。

わたしは 「どうだ、悪くないだろう」としてみました。

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※このNO.2の原稿は、2015年8月12日に書いたものです。

この絵本の解説と他の絵は:http://www.illust-euro.com/?cat=157
この絵本のお取寄せは:http://illust-euro.ocnk.net/product/241

次回 NO.3は、P.15からです。

 

 

 

 

 

お断り
翻訳クラブでの翻訳は、同好メンバーの勉強や研究のために行っているもので、商業目的ではありません。
La traduction français-japonais fait partie des exercices pratiques de Honyaku Club, non pas à but lucratif, ni commercial mais juste pour apprendre la langue française.
The French-Japanese translation is part of practical exercises Honyaku Club. It is for study purpose only, not for profit or commercial.