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エリック・ピュイバレの絵本の中でも、とりわけ美しい一冊です。

| 2018年08月17日 23:48 | 吉村正臣 |

Éric Puybaret エリック・ピュイバレ(フランス)

le jouet des vents
しあわせは風のむこうに

le jouet表紙

フランス語 翻訳付
出版社De La Martinière Jeunesse

パリ在住のイラストレーター、エリック・ピュイバレは、パリ国立高等装飾美術学校でイラストレーションを学んだ後、絵本の世界に入ります。1999年ボローニャ国際絵本原画展に入選。その後、有名出版社から数多くの絵本を出版。フランスを代表する作家のひとりです。透明感あふれる絵で、一躍人気作家となりました。米国、スペインでも人気が高く、日本では2004年「月と少年」が出版されました。

幸せとは何? 6歳から9歳の子どもたちにむけて描かれています。風のようにつかみどころのないもの、それが幸せだと。風と遊ぶように、風に吹かれて世界中を移動する「子ども」が主人公です。その子が現れると、そこに奇跡が起こります。人々はその奇跡を永遠のものにしようと、子どものあとを追いかけます。お金がほしい物乞い、互いに思いを伝えることのできない男女、カモメに魚を狙われる漁師-それぞれの幸せを求めています。人間にとって幸せとは?それは何かを追い求めることなのかもしれません。

素敵な絵本です。ピュイバレのよさがいかんなく表現されています。不透明水彩絵の具でしょうか、しっかり繊細に塗られています。人物はいつもながらにかわいく、大人の人はデッサン力のある体型が美しく描かれています。小さく遠景にいる人々のシルエットもていねいです。家具、建物などエキゾチック。なにより、風をテーマにしているだけに、目に見えない「空気」を工夫してさまざまに描いています。この空気感が,広い空間を示しながら美しい。色の大胆さも感心します。

<翻訳の一部>   翻訳 : 泉 りき

ミストラルの朝、シムーンの午後、そしてハルマッタンの夜。
その子は風のように軽い。ただ、風に吹かれるだけ。
わずかな重みもなく、空気のように軽く
吹きすさぶ風の中で曲芸をする。
風がなければ、この地球のどこかでじっとしているだけ。

※ミストラル:フランス南東部に吹く寒冷で乾燥した北風
※シムーン:サハラ砂漠、パレスチナ、ヨルダン、シリア、その他アラブ地域の砂漠に吹く、強くて乾燥した砂嵐
※ハルマッタン:西アフリカで11月末から3月中旬にかけて、ギニア湾に吹き抜ける、寒い、乾燥した砂塵嵐

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