子どもたちに、夢の中で楽しい旅を体験してもらいましょう
| 2026年10月09日 05:00 | 吉村正臣 |
Le voyage de Madi
マディの旅立ち

フランス語・翻訳付
出版社:Gallimard Jeunesse
アンナ・クルチ(1952年-)イタリア・トリノ生まれのイラストレーターです。トリノの国立美術大学に相当するアルベルティーナ美術アカデミー付属高校を経て、トリノ工科大学建築学部で学びます。広告グラフィックデザインのコースの受講をきっかけに、イラストや出版の世界に入ります。30年以上にわたり、児童書のイラストやデザインに携わり、イタリア国内外で作品を出版。日本でも絵本が出版されています。2025年4月国立市・芸術資源館で作品展「アンナの世界」が開催されました。
主人公のマディは、森の花々の世話を日課にしています。平穏な毎日です。ある日、森の中に不思議なドアが開き、見たこともない3人が出てきます。海の向こうの遠い国からの訪問者でした。花を見たことがない訪問者に、マディは花の種を分けてあげます。お礼にと渡された貝殻と鍵は、マディを見たこともない海に導きます。不思議なドアを開け、今度はマディが旅に出る番です。
夢のようなイメージが、見開きページに描かれたイラスト。ページをめくるごとに、読者は不思議な世界へと深く引き込まれ、思いがけない、そして驚きに満ちたキャラクターたちに出会います。色鉛筆のやさしく心が行き届いた塗り方です。また水彩絵の具の繊細なストローク。葉や布に絵の具を載せ転写した部分もありそう。いずれも、紙の白を生かし、美しく構成されています。
≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉りき
マディは森の中にある、赤い屋根の小さな家で暮らしていました。
マディには、大事な仕事がありました。
毎朝、念入りに準備をし、木から下りて仕事にとりかかります。
マディは種をまき、草むしりをし、水をあげます。
村ではみんな知っていました。森の花々を育てているのはマディだと。
マディは花を手入れするのが大好きでした。
日中は花の世話をし、夜は花のことを考えていました。
ときどき、花の夢を見ました。夢の中は色とりどりで、いい香りがしました。
ある夜のことでした。森の中になぜか扉が開き、マディには信じられないことが起こりました。
扉から思いがけない訪問者たちが、海の向こうの遠い国からやってきたのです。
風が遠い島までかぐわしい香りを運び、この人たちは香りに誘われてきたのです。
今、あちこちに咲く美しい花をうっとりと見ています。




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