ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
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自由に気持ちよく描いているのでしょう、素晴らしい絵です。

| 2019年02月12日 09:45 | 吉村正臣 |

Anne Herbauts アンヌ・エルボー(ベルギー)

Je t’aime tellement que…
ことばにできないほど、好き

フランス語 翻訳付
出版社:casterman

 

1975年生まれ。今やベルギーだけでなく、フランス語圏を代表するイラストレーターです。ブリュッセル王立美術学校で、イラストレーション、アニメーションを学びました。1999年と2010年、ふたつの絵本でボローニャ・ラガッツィ賞に入選。2003年フランス・モントルイユ絵本市での受賞をはじめ、フランスやベルギーの主要な絵本賞を受賞しています。2018年、すぐれた児童文学に与えられるリンドグレーン記念文学賞で特別賞を受賞。常に、話題の作品を発表し、ヨーロッパ各国、アジア、アメリカにも紹介されています。

「バレンタインデーに向けた絵本」として、作者のアンヌ・エルボーが当初企画しました。愛し合うふたりが、互いの気持ちをありったけの言葉と表現で伝え合います。ページごとに登場する素敵なイラストレーションとことばが、甘い音楽を聴いているような気分にしてくれます。離ればなれになったり、再会したり。言葉では言い尽くせない、恋人同士の強い思いを伝えようとするアンヌ・エルボーの表現力に驚かされることでしょう。愛の絵本と呼ぶにふさわしい、バラ色の表紙が印象的です。

この絵本は、彼女のさまざまな作画のテクニックが発揮され、絵を描く人には大変参考になります。基本的には、水彩絵の具で、しっかり、また、ぐんぐん描いています。登場する人間のような生き物は、鉛筆、オイルパステルで繊細でありながら、大胆に描きます。塗りこんだ紙を切ってコラージュ、模様のある色紙もコラージュ。印刷時に色を入れたと思わせるところもあるようです。いずれも非常にこなれ上手・・・の一言です。色彩もバランスよくきれい、にじませ方も無意識なのでしょうが、うまいです。気持ちよく描いているのでしょうが、よく計算された絵です。ページの流れで見せる構成もよくできています。

<翻訳の一部>  翻訳 : 泉 りき

好きだから、大好きだから、どこまでも歩いて行けそう。
あなたは出かけてしまった。こう言い残して。
「朝のきみが好きだ」
「昼間のきみが好きだ」
「夜ごと、きみが好きだ」
「この火曜日も、きみが好きだ」

あなたは出かけてしまった。わたしは言った。
「好きよ」

あなたが言った。
「きみのことがとても好きだから、川の流れは絶えることがなく、季節は流れ、ぼくたちはずっと、ふたりでいるんだ」
「きみが大好きだから、インゲンだってやわらかな光で育つんだ。きみのことが大好きだから、ぼくは勇気をもらい、いつだって安心してられるんだ」

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