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どんな旅でも人は変わる。たとえ、それがエレベーターでも。

| 2025年05月28日 05:00 | 吉村正臣 |

Yael Frankel  ヤエル・フランケル  (アルゼンチン)

L’ASCENSEUR
エレベーター

フランス語:翻訳付
出版社:Obriart

 

ヤエル・フランケルはアルゼンチンで生まれ(1967年)、ブエノスアイレスに住んでいます。著者兼イラストレーター。ラテンアメリカ(アルゼンチン、チリ、コロンビア)、ヨーロッパ(フランス、イタリア、スペイン、スイス)、アジア(韓国、中国)で多くの児童書を出版。数々の賞を受賞し、世界中の多くの展覧会に参加しています。2016 年・2017 年にボローニャ国際絵本原画展で最優秀フィクション賞を入選しました。

エレベーターは下がるはずなのに、上がってしまいます。各階で、犬を連れた少女、ご婦人、高齢の老人、双子の赤ちゃんを連れたお母さんらが乗り組んできます。人々を乗せ、エレベーターは下降始めましたが、4階と5階の間で動けなくなり、エレベーターの中に閉じ込められました。異なった人々が、小さな空間で助け合ったり、お話しをしたり・・・6人の隣人に友情が芽生えます。

この絵本は、2021年 • アメリカ合衆国青少年向け図書委員会(USBBY)の優秀図書賞のほか、韓国、ロシア、アラブ首長国連邦、ドイツなどで受賞しています。

裏表紙の一文 「どんな旅でも人は変わる。たとえ、それがエレベーターの中の旅だったとしても。」は、とても印象的で、このちょっとした出来事が登場人物たちにとって特別な時間になったことを感じさせます。まるで短い寓話のようで、読後感がとても心地よいです。
イラストは、転写版画のような手法で、独特の絵になっています。インクのにじみ、かすれが優しさを醸し出す効果となり、白黒にオレンジのタッチが効果的です。

≪翻訳の一部≫   翻訳:泉 りき

いつものように、おやつの後にロコを散歩に連れて行った。
4階でエレベーターに乗り、ボタンの「O」を押したのに、エレベーターは上に上がり始めた。
「誰かが呼んだのかな」とロコに言った。
案の定、7階に着くと、犬が苦手なご近所さんのポーラさんが乗ってきた。

「おはよう」とポーラさん。
「おはようございます」と私。
「ワフ」とロコ。

ポーラさんは「O」のボタンを押したけれど、またしてもエレベーターは上へ。
8階に着くと、マンションで最も年配のミゲルさんがエレベーターを呼んでいた。

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