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女性のデフォルメが大胆で、楽しい絵。上手です。

| 2017年05月04日 12:02 | 吉村正臣 |

Pierre Piech ピエール・ピーク (ポーランド)

Souviens-toi
忘れないで

souviens表紙

フランス語 翻訳付
出版社:Editions du Rouergue

1978年ポーランド・ワルシャワ生まれ。アルジェリアで過ごした2年間でフランス語を学び、フランスへ。その後、ベルギーの有名な美術学校サン=リュック高等美術学院で、ビジュアル・アートを学びます。現在は、マルセイユ在住。彼の描く豊かな顔の表情には、東ヨーロッパの素朴さとあたたかさが感じられます。

「自分はいったいどこから来たのか?」絵本が読者に問いかけます。テーブルの上のゆで卵は、ニワトリに抱かれていたときのあたたかさを、しおれた一輪のバラは、お店で買ってもらった日のことを、羊毛のセーターは、羊のいる牧場を思い出します。じゃあ私たちは、何を思い出すのでしょう。忘れたくないルーツを、詩的なタッチで描いています。

女性のデフォルメが大胆で、楽しい絵です。とてもていねいに鉛筆でしょうか、描かれています。1本1本の線のストロークが慎重ですが、一定のスピードがあり心地よく塗られています。この作者はきっとデッサンをしっかり学んだと思います。顔のボリュームや頭蓋骨と肩や首の骨がしっかり正確に描かれています。絵のうまい人ですね。文章からの発想も大胆で見事です。

≪翻訳の一部≫   翻訳:泉 りき

忘れないから。暖かかった時のことを。
これを見て、何か思い出さない?
いっしょに過ごした初めての夜のことを、まだ覚えているの?
えぇ、私はずっと忘れない。あなたはとても小さかった。
思い出すの。あなたが一輪の花を買った日曜日のことを。
食べたおやつは、全部覚えているの。
森を思い出すね。
私はあの、小麦畑が忘れられない。

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