ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
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ニューオリンズ・ジャズの歴史を、強烈なタッチとカラーで描いています。

| 2023年11月25日 05:00 | 吉村正臣 |

Henning Wagenbreth ヘニング・ワーゲンブレッツ(ドイツ)

Honky Zombie Tonk
ニューオリンズ・ジャズの歴史

 

フランス語 翻訳付き
出版社:Le nouvel Attila

 

ヘニング・ワーゲンブレッツは、ドイツ出身のイラストレーター、グラフィックデザイナーです。ポスター作家、オペレッタの舞台装飾家としても知られ、ベルリンとサン・フランシスコを行き来しながら活動しています。独自の書体を開発。印刷技術についても精通していることから、出版物にも工夫を凝らします。ベルリン芸術大学でイラストレーションの教授を務め、日刊紙リベラシオンやニューヨークタイムズに作品を提供しています。

米国ルイジアナ州ニューオリンズといえば、ジャズ発祥の地。スペインやフランスの領土になり、この地に住み着いた白人たちの流れをくむ「クレオール」と呼ばれる人たちの、ヨーロッパの音楽(弦楽器や管楽器)がありました。そこに奴隷として連れてこられたアフリカ系の人々がドラム、精神性、ラグタイムの要素を持ち込みます。二つの潮流は対立しながら融合しジャズが生まれました。19世紀末から20世紀初頭、ジャズの創生期の立役者となったミュージシャン、ボクサー、ナイトクラブのオーナーなどがポップなタッチで描かれます。

ドイツ語版ののち、フランス語版が1,500部限定で出版されました。現在は絶版で、希少本として高額で取引されています(フランス・アマゾン811.95ユーロ 約105,000円 2021.913現在)

マンガでしょう、POPアートとも言えるでしょう。ジャズの歴史を作った人々の特徴や逸話を、強烈なタッチで描いています。キャラクターひとつひとつもオモシロいのですが、各場面がこれだけアイデアが出るなと感心させられるぐらい、奇想天外!とんでもないのです。特に、それぞれのページの色彩がこれでもかと言うほど、ギラギラ、原色で構成されています。と言っても、1ページ1ページ、ていねいに描かれ、配色のバランスも統一されています。人々の顔や姿、洋服にはジャズの香りがします。一見乱暴なようですが、プロのイラストレーターの仕事ですね。

≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉 りき

新世界・アメリカ大陸に連れてこられた者たちは、だまされ、売買された。綿花畑での労働で、ブルース音楽は尽きることがなく流れ、さまよう。ブルースはあちこちに広まり、根づいていく。ブルースから発展した音楽は数多くあるが、もっとも有名なのはジャズだ。

このイカした音がわかるかい?銅や鉄、金属のはねかえる音が。骨やがらくただって役に立つ。猫の髭だって、安ブランデーの空き瓶だって。くず拾いのラレンゾォが、音を出している。それは歌なのか?いや、そうでもない。だがラレンゾォが水に浮かぶ艀に乗ると、歌っているみたいだ。

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