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ピカソの初期を彷彿とさせる。評価されるべき具象画家。

| 2022年08月25日 05:00 | 吉村正臣 |

Mariano Otero マリアーノ・オテロ(スペイン)

画集(解説はフランス語、翻訳はなし)
出版社 Vue Sur Mer

 

1942年スペイン・マドリード生まれ、そしてフランスに渡った現代美術家。1957年から1962年までフランスのレンヌ美術学校に、1962年にパリでナショナル・アート・ディプロマを取得した。(ナショナル・アート・ディプロマ(DNA)は、フランスの高等美術学校におけるバカロレア後の3年間の教育内容を認定するものである。)

スペインの作家、詩人、ジャーナリストであるアントニオ・オテロ・セコの息子としてマドリードで生まれました。父は共和主義者であったため、1947年にフランコ政権から逃れるためにフランスへの亡命。マリアーノと母、兄のアントニオ、妹のイザベルが父と合流したのは、1956年、父がレンヌ第2大学でスペイン語の教授をしていた時でした。

女性を描く作品が多い(ポートレート、ヌード、カフェの女性、水浴び、タンゴダンサーなど)。また彼は彫刻も制作し、シルクスクリーンや多くのポスターの作者でもあり、しばしば過激な表現も行いました。2019年7月9日にフランスのレンヌで亡くなりました。

フランスの西海岸の町・ディナールのギャラリー兼出版社で見つけた画集です。解説はフランス語ですが、たくさん作品が掲載されています。絵を見たとき、『ピカソかな・・・』と思ったのです。それにしては、モダンだったので、名前を確かめると違っていました。
ピカソの初期からキュビズム頃までによく似た画風です。初期はモデルをしっかり忠実にとらえ描こうとしています。アカデミックな具象画です。きっとキャビズムの影響を受けたのでしょう、人体を構造体として造形的に描きます。静物画にもいいのがあります。
そして、装飾的に描いた作品も見られるようになります。日本ではあまり知られていないようですが、もっと評価されてもよい画家でしょう。

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