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鮮やかな色彩、濁りのない絵の具、そして愛の歌

| 2013年10月29日 11:38 | 吉村正臣 |

Edmée Cannard エドメ・キャナール(フランス)

Mademoiselle parapluie
雨傘のお嬢さん

Mademoiselle parapluie表紙

フランス語(翻訳付き)

単純化された、美しい絵です。特に色彩がキレイ、気分が晴れやかになります。
技法の工夫があります。画面はコラージュでしょう、オレンジ色の紙、ピンクの紙、濃いグリーンの紙など、それぞれ分けて絵の具を塗って作り、その紙を切り、張り合わせて、発色のよい絵に仕上げています。
例えば、オレンジ色の紙を仕上げる際、絵の具を厚塗りし、下塗りの色が見えるように、深みのある表面に仕上げています。切り張りしているため、濁りがなく、濃厚なマティエールながら、非常に単純な構成で、さわやかさを生んでいます。
使う紙として、ところどころに、格子線の入った計算用紙のようなものを使用するのも、この絵のアクセントになり、「今風」になっています。絵の具、筆の使い方がしっかりした作家です。顔、風景、動物などのデフォルメも楽しい。
表紙のサブタイトルに「Chanson d’amour et de vent(愛と風の歌)」と書かれています、愛の詩の絵本なのでしょう。
物語は、さびしい街で花を売っていました。いつも何だかつまらなさそうです。ある日、街に嵐がおとずれます。持っていた傘が開き、空を飛び、幸せを見つけに行く旅が始まります。
作者は、フランス出身。ストラスブール装飾美術学校でイラストレーションを学びました。少女時代から詩人か画家になる夢を見ていたそうです。詩から豊かなイメージを発想するロマンティックな作家です。

<翻訳の一部> 翻訳:泉りき

雨傘のお嬢さんは、どんより曇った街に住み、
“霧の広場”で花を売っています。
でも、くしゃくしゃの服を着て、ふさぎ込んでいました。
頬は青白く、花はしおれ、誰も買ってくれません。

嵐の日のこと、強風ですべてがひっくりかえりました。
人々はぐらぐら、壁も揺れました。
傘は翼のように広がり
お嬢さんは、舞い上がりました。

空にはたくさんの雲があり
森を越え、畑を越え、飛んでいきます。
・・・・・

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絵本は売り切れました。ありがとうございました。