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美しくシンプルなグラフィックの世界を発表、注目されています。

| 2025年06月28日 05:00 | 吉村正臣 |

Adrien Parlange アドリアン・パランジュ (フランス)

un abri
避難所

フランス語:翻訳付
出版社:La Partie

 

作者アドリアン・パランジュは、1983年にフランス中南部・オーヴェルニュで生まれ、パリ地方で育ちました。国立応用美術学校で学び、その後ストラスブールの装飾美術学校でイラストレーションを、さらにロンドンの王立芸術大学で学びました。2014年にストラスブールに移り現在、児童書の著者兼イラストレーターとして活動。2015年のボローニャ国際絵本原画展でボローニャ・ラガッツィ賞を受賞。新しい作品ごとにユニークなグラフィックの世界を発表、注目されています。

「un abri」は避難所・・・太陽から身を守る日影、強い光を避ける避難所なのです。早朝から照りつける太陽光線を避けるために、女の子が小さな石の影=避難所を見つけます。同じように影を求めて、ヘビ、キツネ、ウサギ、さらには鳥の群れが影に加わります。狭い日陰では、ヘビは少女を噛む危険があり、ウサギは鳥を追い払い、イノシシは重い体重ですべてをひっくり返す危険が・・・。しかし光が落ちて、夜になると、彼らは自由になり、見つめ合い、心を通わせ、そして、暗闇の中、彼らは出発します。喜びに満ちた、仲間となりました。

横長の糸で綴じた特殊な製本がされています。見開きのベース色が、昇る太陽のオレンジ色から黄色に、やがてピンクに・・・時間が経つにつれて、朝の光から真昼、夕方、夜へと気づかないうちに変わります。色彩により、時間が描かれているのです。
真ん中に、ぽつんと大きな石が、唯一日影。この三角の影の中に、少女、動物たちがはめ込まれます。大変ユニークなグラフィック表現です。
ページをめくるたびに、時間が経ち、影が動きます。その動きは驚くほど正確に再現されています。楽しい仕掛けのある絵本です。

<翻訳の一部> 翻訳:泉りき

その朝、夜明けには、すでに太陽が燃えていた。

足を引きずるようにして、一人の少女がやってくる。

彼女は陽射しから避難できる場所を見つけて腰を下ろす。

ほどなくして、一匹のヘビがやってきた。

焼けつく大地を避ける場所を探しているのだ。
ヘビもまた、少女の向かい側の陰に身を寄せる。

少し後、キツネが現れる。
舌を垂らし、毛並みは火照っている。

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