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一見、こわいお話に思えるかもしれませんが、実は楽しい絵本です

| 2020年03月01日 18:22 | 吉村正臣 |

Natali Fortier ナタリ・フォルティエ (フランス在住)

Forêt noire
黒い森の住人たち

フランス語 翻訳付  出版社:rouergu

 

米国生まれ(1959年)で、カナダのフランス語圏・ケベック出身のイラストレーターです。現在は、フランス在住。ケベックのサン・ジャック美術学校を経て、サンフランシスコ美術学院、パリ国立高等美術学校(ボ・ザール・パリ)で学びました。2004年絵本<J’aime>でボローニャ・ラガッツィ賞を受賞。つづいて<Lili Plume>で、フランスの絵本賞オクタゴヌ賞、高校生が選ぶゴンクール賞を受賞しました。造形作家としても有名です。2019年のパリ(モントルイユ)絵本市では、今回の絵本のイラストレーションが、特別コーナーに展示されました。

黒い森に住む、魑魅魍魎と呼びたくなるような生きものたちが続々登場します。主人公が森を散歩している途中に、月、鳥、子犬、何者かわからない生きものに出会います。出会ったものたちは、主人公の散歩に加わっていきます。1見開きごとに、ひとつの出会いがあり、本文のはじまり「私は○○に出会った」は、まるでおはやしのようです。登場した生きものが、左ページから右へ、あるいは右から左へ抜け出していき、散歩の輪に加わるようすが表現されています。
タイトルの「Forêt noire 黒い森」という言葉から受けるのは、幻想的で謎めいていていつも薄暗い印象です。同時にForêt noireは、サクランボを使ったケーキのこと。ドイツにある黒い森にちなんだお菓子で、この絵本にも登場します。一見、こわいお話に思えるかもしれませんが、実は彼女らしい楽しい絵本です。

絵が上手な人です。使っている画材は皆さんもおなじみのモノ。日本でいうクレパスか…ごしごし描いて水性絵の具を塗り、こすりとったりして調子を出しています。デッサン力のある人なので、その線や色がキレイで、いい絵となっています。動物と人間が混じったような生き物、グロテスクな動物などイメージをこらした絵です。
この絵本は、ナタリ・フォルティエが文章も書いています。そんなことで、文も絵も感覚的。見る側も想像力を働かせましょう。

≪翻訳の一部≫  翻訳:泉 りき

住んでいる木で、山高帽の男に出会った。まるでボールのようにお月さまを放り投げていた。

林のそばで、ご近所のイリスに出会った。イリスは息子のクロヴィスを溺愛していた。

森の奥で、いつもはおだやかなラドゥスゥール姉妹に出会った。何だか取り乱している。
「枝にしっかりつかまって!」

中庭で、好奇心いっぱいのひな鳥に出会った。わたしについてくる。それだけが願い。

小道で、子犬に出会った。人に追いかけられ、びっくりしている。

路地で、ちょっと傲慢なプチ・バヴー*と、怖いものなしのおふざけ者に出会った。
「それ行け!そーっと、忍び足」
*チーズの一種。作者の出身地であるカナダ・ケベックの特産品名。言葉遊びになっている。

川べりで、コサック出身らしきニコライに出会った。大学教授で、大酒飲み。

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