ヨーロッパの一流イラストレータ イタリア、フランス、ベルギー、ドイツで活躍中のアーティストを紹介
   
SSL グローバルサインのサイトシール
 

マリア・バッタリアさんの代表的な絵本。これぞ子ども向け!

| 2025年12月27日 05:00 | 吉村正臣 |

Maria Battaglia マリア・バッタリア(イタリア)

Le royaume enchanté
魔法の王国

フランス語:翻訳付
出版社:Bilboquet

 

マリア・バッタリアは、小学校教諭を経て、イラストレーションを本格的に学ぶため、ミラノのヨーロッパ・デザイン学院に入学。イラストレーションを学んだ後、子供のための絵本を中心に活動。主にイタリアとフランスで作品を発表。ブラティスラバ国際絵本原画展やボローニャの常連でした。「魔笛」はアンデルセン2000年最優秀イラストレーション受賞。

イラスト・ユーロのコーディネートで小澤征爾氏のオペラ公演のメインビジュアルに作品を提供。スローフード発祥の地、ブラに住んでいます。バルセロナ、テヘラン、台北での展覧会や、テレビの国際展覧会でも活躍しています。

小さな王女さまが、美しい花々や、小鳥たちを再生する物語です。
商人が、焼けつくような太陽に照らされた王国にやって来ました。そこは木々が全て失われ、砂漠と化していました。商人が織ったタペストリーの一つに描かれた木々、花、鳥の絵は、小さな王女さまを魅了します。王女さまは鳥の絵を描いてくれる画家を探しに出かけます。
芸術を通して命がよみがえる、子供の想像力の魔法を描いた、心温まる物語です。

マリア・バッタリアさんの、代表的な絵本です。深い色の色紙にコンテで繊細に、ていねいに描いています。しっかり塗り込められていて、重厚感があります。イタリアの作家だけに、お城の形や、窓の縁取りはイタリア流。家屋や水を噴き上げる噴水は今もイタリア各地で見受けられます。また、服装は、色合いといい模様といい、イタリアルネッサンスですね。

≪翻訳の一部≫  翻訳:泉 りき

クレマン王の王国は、焼けつくような太陽に照らされた砂漠でした。あまりの暑さに人々は自分の家から出ようとはしません。でも昔からそうだったわけではないのです。
「どんな魔法で、この国がだめになったのか」ある日、王は自問しました。
「魔法とは無関係です。数年前、城と宮廷の建設のために木がすべて切られました。そのせいで鳥たちは姿を消しました。それから雨が降らなくなり、花も咲かないのです」王の助言者は指摘しました。

それから数年たちました。王国には、よそから人が訪れることはありませんでした。ひとりの商人が街にやってくるまでは。商人の男は、ただちに宮廷へ連れていかれました。男は金糸銀糸で織られた布や敷ものを売っています。

この絵本のお求めは:https://illust-euro.ocnk.net/product/609