フランスの地方都市ブルジュを舞台にしたファンタジックなお話です
| 2026年01月01日 21:00 | 吉村正臣 |
Boiry ボワリー(フランス)
Un Mari Délicieux
美味なる夫

フランス語:翻訳付
出版社:HACHETTE Jeunesse
イラストのボワリーことヴェロニク・ボワリー(1948-)は、南仏トゥーロン出身。ペニガン美術学校とパリ国立高等応用美術・工芸学校を卒業し、グラフィックデザイナーとして2年間働き、その後、絵本のイラストレーターになります。1995年、Je ne veux pas aller au tableau !で、フランスの絵本賞・ソルシエール賞を受賞。絵本のほか新聞、雑誌にも作品を提供しています。
文章は、ジャン=フランソワ・ドゥニオ(1928-2007)。フランスの政治家であり小説家。正統なフランス語の守護者と称されるアカデミー・フランセーズの会員でもありました。
舞台はフランス中央部にあるブールジュという都市。莫大な資産を持つ大富豪には、財産より大切な一人娘がいます。娘の結婚相手を見つけようと盛大なパーティを開催しますが、うまくいきません。そして娘は自ら、すてきな夫を自ら見つけた(創造した?)のです。AIとの共生を予言したかのようなお話!と思いきや、娘であるマリー=アメティストが、伯爵夫人に奪われた愛しい夫を奪還するまでの冒険が繰り広げられます。そして予想外のエンディング。
ユーモアあふれる物語に、「いいぞ!マリー=アメティスト」と主人公を応援したくなります。
絵は、とても楽しい!
細く、はっきりした輪郭線が繊細で、事物の動きや表情をクリアに描きます。水彩・アクリル・パステル などさまざまな画材を使い分け、淡い色調から濃い色まで、また、やわらかな色面から、くっきりした描写が見事です。
やさしく親しみやすい表現で、クスッと笑えるようなユーモアある描写や、人物・動物の表情豊かなタッチが特徴です。読者の年齢に関わらず、視覚的に直感的に楽しめるスタイルです。
≪翻訳の一部≫ 泉りき
その昔、フランス中央部・ベリー地方のブールジュという都市に、いったい資産がいくらあるのかわからないほどの大富豪がいました。大富豪が「武器よりもはるかに儲かる軍用の毛布を独り占めしている」と言う連中がいました。また「ロワール地方産の砂の取引を一手に握っている」という噂も。ロワールの砂は、非常に細かく、硬く、くすみがかったピンクという珍しい色でした。高品質のモルタル、セメント、漆喰として用いられ、宮殿、教会、橋などの建造物には欠かせません。望み通りの木目と色合いを得るために、どのように選別されているのかは一見の価値があります。まさに職人の手腕の結晶です。




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