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火災で家族をなくした少女が「生きよう」と思うまでの葛藤

| 2014年01月16日 10:22 | 吉村正臣 |

Natali Fortier ナタリ・フォルティエ(カナダ フランス在住)

Sur la pointe des pieds
音もたてずに・・・それでも生きていく

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フランス語 翻訳付き

絵が上手な人です。使っている画材にとても親しみがありました。絵の具かな・・・いや、日本でいうクレパスかな・・・ごしごし描いて、また重ねて描いて、その面を鉛筆で線描き。絵の具で重ね塗り。デッサン力のある人なので、その線がキレイで、いい絵となっています。色彩も鮮やかでキレイ。一部に、半具象画のような、目がたくさんついた人が出てきたり、アフリカの仮面のような顔、また人間が一部鳥になっていたり、イメージをこらした絵があります。
この絵本は、ナタリ・フォルティエが文章も書いています。そんなことで、文も絵も感覚的。絵は文章の説明になっていないところが多々あります。むしろその時の心象を描いているようです。見る側も想像力を働かせましょう。

文章がなければわかりにくいので、翻訳と解説をつけました。翻訳を参考に、絵の意味も少し考えてください。

作者は、カナダのケベック出身。サン・ジャック美術学校を経て、サンフランシスコ美術学院、パリ国立高等美術学校で学びました。ル・モンド、マガジン・リテラチュールなど新聞、雑誌に絵を発表。フランスを代表する出版社の書籍の装丁や絵本の出版を行っています。現在、フランス在住。

≪翻訳の一部≫ 翻訳:泉りき

金曜日、学校の帰り道、消防車が全速力で走っていった。
私は、サイレンの音に乗って、ステップを踏む。
通りは、見物人でいっぱいだった。
ふだんはめったに外に顔を見せないモーリセット夫人まで、パジャマ姿のままで出てきた。
私は、とびはねるように、群衆の中をかきわけていく。
今にも泣きそうな、気の毒そうなまなざしで、人々は私を見ていた。
勇気づけるためなのか、何人かが私に触れるのだが、腕をすぐにひっこめる。
私にさわると悪い病気になる、そんな感じだ。
そんな人が、そこら中にいた。
話しかけてはくれない。ただ、私を見ている。
その時、ようやくわかった。
火事は、ここから数十メートル先の、自分の家で起こったのだ。
とにかく、走りだした。
パパ! ママ! ピエロ! エリーズ!
家族の名前を炎の中で叫んだ。
大男が、私の、行く手をふさいだ。
その男の顔を見ていない。
ただ、私の腕を引っぱる大きな手を覚えている。
私は息苦しくなってきた。
燃えたプラスティックの臭いがたちこめていた。
それ以上はもう覚えていない。目の前が真っ暗になった。

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