デルフィーヌ・ジャコが色彩豊かに表現、どんでん返し!
| 2025年10月06日 22:00 | 吉村正臣 |
Delphine Jacquot デルフィーヌ・ジャコ(フランス)
Le Portrait du Lapin
ウサギの肖像画
フランス語:翻訳付
出版社:DIDIER JEUNESSE
フランス西部・レンヌの美術学校で、広告グラフィックデザイン、レイアウトを学びました。その後3年間、ブリュッセルの美術学校へ留学。帰国後まもなく、大手出版社からデビュー作を出版します。コラージュ、鉛筆、マーカー、アクリル絵の具、版画の一種モノタイプなどを組み合わせて制作。すでに20冊近い絵本を出版し、2015年にはイラストレーション大賞、リール・アンサンブル賞を受賞しています。
楽しい物語です。『ウサギは、求愛していたイタチに自分の肖像画を送ることにしました。が、ウサギはお金持ちですが、芸術については何も知りません。友人のブタは絵に詳しく、その紹介でキツネ画伯に描いてもらうことになりました。
しばらくして、仕上がりを見て、落胆。キャンバスには白いものしか見えなかったからです。でも友人たちが素晴らしいできばえだと褒めるので、ウサギその気になり、プロポーズの言葉とともに、絵を送りました・・・』
明解な色彩のダイナミックな絵が目に飛び込みます。さまざまな動物たちが擬人化され、ユーモラスな動作で登場します。強い色、その間を取り持つ中間色がバランスをもたらしています。色鉛筆でていねいに形づくり、そして塗りこんでいます。一部に水彩透明絵の具、マーカーも使っているのでしょう色彩に深さを出しているように見えます。何より、細かなことは省略し、動物たちの表情が魅力的で豊かです。最後のシーンが、面白かったです。
<翻訳の一部> 翻訳:泉りき
ウサギが快適な肘掛け椅子に座ってお茶を楽しんでいると、ドアをノックする音が聞こえました。
リスでした。
「旦那様にお手紙が届いています」と執事が言いました。
「アメリカからの手紙です!」
それは若いイタチからの手紙でした。
彼女は女優で、ニューヨーク市に住んでいます。
「あなたのいとこから、あなたのことをいろいろ聞きました。私が夫を探していることを知っていて…」
イタチ嬢は手紙に自分の写真を同封していました。
スパンコールのドレスを着た彼女を見て、ウサギはとても美しいと思いました。
「どうかお返事をください。そうして、あなたの写真も送ってくだされば、私は天にも昇る気持ちです。」と彼女は締めくくっています。
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