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原題のLe plus bel hiverは<いちばんすてきな冬>。

| 2019年02月05日 20:00 | 吉村正臣 |

Christina Sitja Rubio クリスティーナ・シティア・ルビオ(ベネズエラ)

Le plus bel hiver
冬の仲間たち

フランス語 翻訳付
出版社:Editions Notari

クリスティーナ・シティア・ルビオは、ベネズエラ出身。現在、ベルリンとバルセロナを行き来しながら、制作活動を行っています。もともとは写真やデザインが専門でしたが、イラストの世界に転向。今回はテキストの制作も行いました。2011年、2012年ボローニャ絵本原画展に連続で入選、2014年リスボンのイラストレーション・ビエンナーレIlustrarteに入賞しています。彼女の作品は、これまで2冊イラスト・ユーロでご紹介しました。自己と他者の関係を都市生活を舞台に描いた<Les autres>、秋を過ごす愉しみを描いた前作<Octobre>。そして今回のテーマは「冬」です。

冬を迎えた森が舞台です。主人公のアナグマは、冬に向けてあれこれ楽しい計画をします。ともだちの動物をたずね歩きますが、みんな冬眠に入り、巣から出てこようとしません。家に帰ってひとりで遊びますが、飽きてしまいます。訪問したコウモリからの情報で、冬眠しない動物が集まる場所へ行くことに。これまでいっしょに遊んだことのない顔ぶれですが、勇気を出して声をかけ、ともだちになれました。冬の間、お互いの遊びを教えあい、すっかり仲よくなります。アナグマはそのお礼に、この冬いちばん上手に焼けたトーストをみんなにごちそうします。原題のLe plus bel hiverは<いちばんすてきな冬>。動物たちの交流、季節のうつりかわりが、やさしいタッチで描かれます。

動物たちの冬ごもりの生活が楽しく、そして詳しく描かれています。水彩絵の具でしっかり塗られ、また、水をたっぷり含ませ、テクニックのあるところをうかがわせています。特に、メインになる部分は注意深く、背景部はあっさりと仕上げて、その部分をよく見ると、うっすらと遠景が描かれ、空気遠近法のような工夫がされています。春になり、小動物が生き生きする姿がかわいいです。

<翻訳の一部>   翻訳:泉 りき

音もたてずに、雪が森を白くする。
森の住民たちは、長い冬眠の準備にとりかかる。
だけどアナグマは、そんなのまっぴら。
冬のあいだ、すばらしい計画が目白押しなのだ。

「こんにちは。クマさん、いる?」
クマの家の前には、看板が出ている。
-春まではお静かに。よろしく-
友だちのクマは、大いびき。
「ねぇ、マーモット。ぼくとそりで遊ぼうよ」
マーモットも、すっかり眠りの中。

すみません、せっかくですが売り切れました。
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